プログレス(Progress)は、ロシアの使い捨て貨物輸送宇宙船である。飛行中は無人だが、宇宙ステーションへのドッキング後は宇宙飛行士が中に入ることができるので、メーカーでは「有人」に分類している[1][2][3]。ソユーズ宇宙船に由来し、ソユーズ打ち上げロケットで発射される。現在は国際宇宙ステーション (ISS) への補給に使われているが、元々はロシアの宇宙ステーションへの補給にずっと使われていた。プログレスによる ISS への補給は、年に3〜4回行なわれている。各補給船は、次の補給船が到着する直前までドッキングしたままである。その後、廃棄物が積み込まれ、切り離されて軌道を離脱し、大気圏で燃え尽きる。
プログレスは、サリュート6号以降のすべての宇宙ステーションに燃料やその他の補給品を運搬してきた。長期間の宇宙ミッションを行なうためには、常に補給品を供給しなければならないという認識から、プログレスのアイデアが生まれた。宇宙飛行士は1人が1日につき30kgの消耗品を必要とすることがわかり、これは6ヵ月の滞在では5.4トンに達する。これだけの量の物資と乗員を、ソユーズの小さなスペースに一緒に積み込んで打ち上げることはとても無理だった。
目次
1 設計
2 バージョン
2.1 プログレス
2.2 プログレスM
2.3 プログレスM1
2.4 プログレスM2
3 現在の状況
4 関連項目
5 出典
6 外部リンク
//
プログレスは、ソユーズとほぼ同形状・同サイズで、3つのモジュールで構成されている。
与圧された前部モジュール。ここには、乗員のための補給品(科学機器、衣服、パック詰めされた新鮮な食料、家族からの手紙など)が積み込まれている。ドッキング・ドローグはソユーズのものに類似だが、UDMH燃料とN2O4酸化剤の配管が特徴である。
燃料区画。ソユーズの再突入モジュールは、非加圧推進剤と燃料補給区画に置き換えられた。配管は宇宙船の外側に取り付けられているが、これは、漏れが発生したとしてもステーション内に有毒ガスが流入しないようにである。燃料は2つのタンクで運搬される。
推進モジュール。推進モジュールは宇宙船の後部にそのままあり、自動ドッキング時に使われる姿勢制御エンジンも搭載されている。ドッキング後には、ステーションの軌道を押し上げるために使われることもある。
プログレスは無人・使い捨てとして設計されたため、重量の軽減が可能であった。これは、巨大な生命維持装置や耐熱シールドが不要であることを意味している。また、各モジュールを分離する機能も無い。ステーションから離脱した後は、逆推進ロケットを噴射して大気圏で燃え尽きる。
飛行のたびに数多くの小さな改良が実施され、大きな改良では名前が変更された。
プログレスの名前で42機の宇宙船が作られ、最後に打ち上げられたのは1990年5月である。
貨物船の設計を担当したのは、TsKBEM(現在のRKKエネルギア)である。1973年の中頃から設計が始まり、プログレスには暗号的な識別番号11F615A15が与えられた。1974年2月までには設計が完了し、1977年11月には最初の量産機の打ち上げ準備が整った。1978年1月20日に、ソユーズと同じロケットでプログレス1が打ち上げられた。ソユーズと同じシュラウド(保護用の覆い)も装備されていたが、緊急脱出システムは機能停止されていて、単純に空気力学的な目的のためだけだった。
このプログレスの最初のバージョンは、質量が7,020kgあり、2,300kgの貨物、または打上重量の30%を運搬することができた。直径はソユーズと同じ2.2メートルだが、長さはわずかに長い8メートルである。自律飛行期間は3日間(ソユーズと同じ)で、1ヵ月間ドッキングしたままにできた。プログレスは常に補給先のステーションの後部にドッキングした。
打上重量 7,020-7,249 kg
貨物重量 (プログレス1-24) ~2,300 kg
貨物重量 (プログレス24-42) ~2,500 kg
全長 7.94 m
貨物モジュールの直径 2.2 m
最大径 2.72 m
貨物区画の容積 6.6 m?
改良版のプログレスMは、1989年に初めて打ち上げられた。最初の43回はすべてミールへ飛行し、ミールの再突入後は国際宇宙ステーションへ約14回飛行し、今後も予定されている。
プログレスMは、基本的にプログレスと同じ宇宙船だが、ソユーズTとTMから導入された改良が特徴である。最高30日まで自律飛行ができ、ミールへ運搬できる貨物は100kg増えている。また、古いプログレスとは違って、ラデューガ( ⇒Raduga)カプセルで150kgまでの貨物を地球に持ち帰ることができる。このカプセルは長さが1.5m、直径60cmで、乾燥重量は350kgである。プログレスMはステーションの前部にドッキングでき、さらに燃料を移すこともできる。ソユーズと同じランデブーシステムが使われていて、太陽電池板を初めて使っているもの特徴である。
打上重量 7,130 kg
貨物重量 2,600 kg
乾貨物重量 1,500 kg
液体貨物重量 1,540 kg
全長 7.23 m
太陽電池板の長さ 10.6 m
乾貨物区画の容積 7.6 m?
貨物モジュールの直径 2.2 m
最大径 2.72 m
プログレスM1は別の改良型で、ステーションへより多くの推進剤を運搬できる(が、貨物の総量は少ない)ものである。11回の飛行が行なわれた。
質量: 7,150 kg
貨物の最大積載量: 2,230 kg
推進剤の最大積載量: 1,950 kg