フロリダ級戦艦
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フロリダ級戦艦
竣工時の「フロリダ」
基本情報
艦種戦艦弩級戦艦
命名基準州名
運用者 アメリカ海軍
建造期間1909年 - 1911年
就役期間1911年 - 1941年
建造数2
前級デラウェア級戦艦
次級ワイオミング級戦艦
要目
常備排水量21,825 トン
(改装後:23,700 トン)
満載排水量23,033 トン
(改装後:24,800 トン)
全長521フィート6インチ (159.0 m)
水線長510フィート (155.4 m)
最大幅88フィート3インチ (26.9 m)
吃水28フィート6インチ (8.7 m)
主缶B&W石炭・重油混焼水管ボイラー×14基
→ホワイト・フォスター式重油専焼水管缶×4基
主機パーソンズ式高速・低速型直結タービン×4基
推進器スクリュープロペラ×4軸
出力28,000馬力 (21,000 kW)
最大速力21ノット (39 km/h)
航続距離5,776海里 (10,697 km)/10ノット
2,760海里 (5,110 km)/20ノット
燃料石炭:2,500 t(改装後:2,581 t)
重油:400 t
乗員士官・兵員:1,001?1,171名
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12インチ連装砲(英語版)×5基

5インチ速射砲×16基

6ポンド速射砲(英語版)×4基

37ミリ機関砲×2基

21インチ水上魚雷発射管×2基

装甲

舷側:9-11 インチ (229-271 mm)

下部砲郭:8-11 インチ (203-254 mm)

上部砲郭:5 インチ (127 mm)

主砲バーベット:4-10 インチ (102-154 mm)

砲塔前面:12 インチ (305 mm)

司令塔:11.5 インチ (292 mm)

甲板:1.5 インチ (38 mm)

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フロリダ級戦艦(フロリダきゅうせんかん、Florida-class battleships)はアメリカ海軍弩級戦艦の艦級である。アメリカ海軍において同一クラスで全て推進形式を蒸気タービン機関とし、同時に初の4軸推進を採用した初の戦艦であった。
概要

フロリダ級は1908年海軍整備計画においてデラウェア級戦艦の改良型として2隻の建造が議会に承認された。当初は14インチ連装砲塔4基の超弩級戦艦として計画されたが当時のアメリカの工業力では大口径砲の製造が間に合わないことが判明し、結局はデラウェア級と同等の12インチ連装砲塔5基10門を持つ弩級戦艦として設計が纏められた。だが、フロリダ級は後継艦に続く新機軸を次々と採用したエポックメイキングな艦で、副砲においては新設計の「5インチ(51口径)速射砲」をデラウェア級の14基から2門多い16門を装備した。これらの改良によりフロリダ級はデラウェア級に比て常備排水量は1,500トン増加していた。フロリダ級は1909年と1910年に相次いで2隻が就役した。また、前級において国産タービンの燃費の悪さが指摘されたため、イギリス製のパーソンズ式直結タービンを採用しアメリカ戦艦初の4軸推進戦艦となった。
艦形竣工時の「フロリダ」(1912年)。第一次改装後の「フロリダ」(1921年)。

フロリダ級の船体形状はデラウェア級に引き続き短船首楼型船体であるが、議会により艦形の大型化が認められたために全長と全幅が拡大して、前級において不満点だった艦上構造物の密集化や内部の居住区の拡大された。

艦首水面下に浮力確保用の膨らみを持つ艦首から艦首甲板上に「Mark 7 12インチ(45口径)砲」を連装砲塔に納め、1・2番主砲塔を背負い式で2基、2番主砲塔の基部から甲板よりも一段高い艦上構造物が始まり、その上に操舵装置を組み込んだ司令塔が立つ。司令塔の背後からこの当時のアメリカ海軍の大型艦の特色である状の前部マストが立ち、司令塔と前部マストを基部として断面図が三角形状の船橋が設けられていた。前部マストの下部に航海艦橋、頂上部露天の見張り所を持つ。前部マストの背後に2本煙突が立ち、そこから甲板一段分下がった左右舷側甲板上が艦載艇置き場となっており、艦載艇置き場の後方に左右に1基ずつ立つ探照灯台を基部とするクレーンにより運用された。2番煙突の後方に籠状の後部マストが立ち、3番主砲塔が後ろ向きに配置された。そこから甲板一段分下がった後部甲板上に4番主砲塔と5番主砲塔が背中合わせに1基ずつ配置されていた。

舷側部には「5インチ(51口径)速射砲」が重心低下を狙って1番主砲塔の側面部に独立して1基が配置されたが波浪の影響を受けやすかったので竣工後に2番主砲塔基部の側面に移設された。他に船体中央部にケースメイト(砲郭)配置で放射状に単装で5基と艦尾側に2基の片舷8基ずつ計16基を配置していた。第二次改装後の「フロリダ」。

フロリダ級は第一次世界大戦後の1920年代ボストン海軍工廠で近代化改装を受けた。外観上においては、籠状の前部マストにあった航海艦橋は密閉型となり、前部マストの中段に箱型の戦闘艦橋を新設した。頂上部の見張り所は密閉型となった。

機関の換装に伴って煙突数は1本となり、籠状の後部マストは撤去され、跡地は水上機の運用スペースとなり、3番主砲塔の上にカタパルトが設置された。後部マストは3番・4番主砲塔の間に簡素な単脚式のものが移設された。

同時に新型の射撃指揮装置が艦橋上に設置され、航海艦橋の上と2番?4番主砲塔上に測距儀を搭載した。波浪の影響を受けていた舷側の副砲ケースメイト5基のうち前側の3基は閉塞され、片舷3門ずつ最上甲板上に計6門が移設された。
武装
主砲1910年代に撮られた「ユタ」の艦首主砲塔。

本級の主砲は「Mark 6 1906年型 12インチ(45口径)砲」である。その性能は重量394.6kgの砲弾を最大仰角15度で18,290 mまで届かせることが出来、射程10,920 mでハーヴェイ製装甲251 mmを貫通できる性能であったこの砲を連装砲塔に収めた。砲塔の旋回角度は船体首尾線方向を0度として左右150度の広い旋回角度を持ち、砲身の俯仰能力は仰角15度・俯角5度である。主砲身の俯仰・砲塔の旋回・砲弾の揚弾・装填は主に電力で行われ、補助に人力を必要とした。装填形式は自由角度装填で、発射速度は毎分2?3発である。

フロリダ級の主砲は軽量弾を高初速で撃ちだすために射程と威力には優れるが、斉射時には左右の砲門からの衝撃波が互いに干渉するために遠距離になるほど散布界が広がる傾向にあり、更に艦形が小型な割に重武装であったために斉射時の反動で船体が揺れて照準が狂うなどの問題もあった。更に、イギリスやフランスの同時期の戦艦に比べ、射撃指揮の研究が未熟で、射撃方位盤や測距儀など指揮装置が未装備であった。

第一次世界大戦後、ユトランド沖海戦の戦訓によりアメリカ海軍はすべての戦艦に射撃指揮装置と測距儀を装備し、本級もこれに倣ったが、時代は超弩級戦艦の時代に入っていたために、「ニューヨーク級戦艦」ら14インチ砲戦艦のように主砲塔の改造や新型重量弾の開発は行われなかった。このため、既存の主砲弾には空気抵抗を軽減し、跳弾しにくい被帽(カバー)が被せられた改造品を扱い、これを量を減じた装薬で初速を減じて撃ちだす運用に改められた。これにより威力は10,920 mで254mmを貫く威力から274mmを貫通可能となった。
副砲、その他備砲、雷装1915年に撮られた「ユタ」の舷側ケースメイト部。艦首方向(右側)に指向された「5インチ(51口径)速射砲」が見える。

副砲は前述通りに「Marks 7 1910年型 5インチ(51口径)速射砲」を採用した。その性能は重量22.7 kgの砲弾を最大仰角15度では射程14,490 mまで届かせられるこの砲を舷側ケースメイトで片舷7基ずつ計14基を搭載した。砲架の俯仰能力は仰角20度・俯角15度である、旋回角度は露天で300度、ケースメイトで最大150度の旋回角度を持つが実際は上部構造物により射界に制限を受けた。砲身の俯仰・砲塔の旋回・砲弾の揚弾・装填は主に人力を必要とした。発射速度は前型の毎分6発から毎分8?9発へと向上した。

その他に対艦用に53.3cm魚雷発射管を水線下に2門を装備した。
就役後の武装変換

就役後の1916年に、対空火器として「1914年型 3インチ(50口径)高角砲」が搭載された。その性能は重量5.9 kgの砲弾を最大仰角85度では射程9,270 mまで届かせられるこの砲を単装砲架で2基搭載したが1918年に4基、1919年に2基追加され計8基となった。砲架の俯仰能力は仰角85度・俯角15度である、旋回角度は露天で360度の旋回角度を持つが、ケースメイトでは旋回角に制限があった。砲身の俯仰・砲塔の旋回・砲弾の揚弾・装填は主に人力を必要とした。発射速度は毎分15?20発である。

対空練習艦となった「ユタ」は1935年に3インチ高角砲が単装砲架で8基を搭載された。その後、「5インチ(25口径)高角砲」が単装砲架で4基が追加され、1936年から1937年にかけて新開発の「1.1インチ(75口径)機関砲」が10門を搭載され、初期試験が行われた。1941年の戦没までに「5インチ(38口径)高角砲」が単装砲架で4基とヴィッカーズ 4cm(39口径)機関砲が単装砲架で8基を搭載された。
機関1920年代に撮られた「ユタ」。


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