フロイス日本史(ふろいすにほんし)とは、戦国時代末期の日本でキリスト教の布教活動を行ったイエズス会宣教師・ルイス・フロイスによる編年体歴史書『日本史』(にほんし、pt:Historia de Iapam )のこと。
天正11年(1583年)にルイス・フロイスは、イエズス会よりヨーロッパの後進が日本布教に赴く際の資料とするために日本における布教史の編纂の執筆を命じられ、以後10年以上にわたって執筆を続け、時には1日に10時間以上の執筆を行ったという。翌年に現在では逸失した第1部「日本総記」を書き上げ、天正14年(1586年)には第2部を完成、その後文禄2年(1593年)には第3部を書き上げて完結した(ただし、後に加筆されたために、第3部を2つに分ける考え方もある)。
ところが、原稿を検閲したヴァリニャーノは、余りにも記事が膨大で本来の執筆趣旨に反するとして編集による短縮を命じた。だが、フロイスはこれに応じなかったために、マカオのマカオ司教座聖堂に留め置かれてそのまま忘れ去られた。その後、1742年にポルトガルの学士院が同書の写本を作成して本国に送付した。その後、1835年に司教座聖堂が焼失した際に原本は失われた。その後、写本も各地に散逸していたが、後年に再度蒐集されて行方不明となった第1部以外は20世紀以後に徐々に刊行されるようになった。日本では、1980年に中央公論社より全12巻の現存本の完訳日本語訳が出され、4年後にはポルトガルにおいて初めて現存本の活字版が完全版で刊行された。
本文は現存しない「日本総記」と称される第1巻(序文・日本六十六国誌・日本総論から成る)、フランシスコ・ザビエルが日本を訪れてキリスト教の布教が開始された天文17年(1549年)から天正6年(1578年)までからなる第2巻、そして天正6年(1578年)から天正17年(1589年)までからなる第3巻から構成される。ただし、実際の第3巻は文禄3年(1594年)まで執筆されており、天正17年以後の部分は加筆されたものと考えられ、この加筆部分を別の巻として扱う見方もある。
キリスト教の布教史としてのみならず、織田信長・豊臣秀吉ら諸侯・武将の動向から庶民生活の実情、災害や事件などについて細かく描かれており、一部に日本人に対する誤解やキリスト教的偏見が含まれているものの、優れた観察眼と情報蒐集の確実性が明らかにされており、日本史における重要な記録として高く評価されている。
書誌情報
松田毅一、川崎桃太訳『完訳フロイス日本史』全12巻 中公文庫、2000年
織田信長篇 I 将軍義輝の最期および自由都市堺 ISBN 4-12-203578-3
織田信長篇 II 信長とフロイス ISBN 4-12-203581-3
織田信長篇 III 安土城と本能寺の変 ISBN 4-12-203582-1
豊臣秀吉篇 I 秀吉の天下統一と高山右近の追放 ISBN 4-12-203583-X
豊臣秀吉篇 II 「暴君」秀吉の野望 ISBN 4-12-203584-8
大友宗麟篇 I サビエルの来日と初期の?教活動 ISBN 4-12-203585-6
大友宗麟篇 II 宗麟の改宗と島津侵攻 ISBN 4-12-203586-4
大友宗麟篇 III 宗麟の死と嫡子吉統の背教 ISBN 4-12-203587-2
大村純忠・有馬晴信篇 I 島原・五島・天草・長崎布教の苦難 ISBN 4-12-203588-0
大村純忠・有馬晴信篇 II 大村・竜造寺の戦いと有馬晴信の改宗 ISBN 4-12-203589-9
大村純忠・有馬晴信篇 III 黒田官兵衛の改宗と少年使節の帰国 ISBN 4-12-203590-2
大村純忠・有馬晴信篇 IV キリシタン弾圧と信仰の決意 ISBN 4-12-203591-0
参考文献
岸野久「日本史」(『日本史大事典 5』(平凡社、1993年) ISBN 978-4-582-13105-5)
松田毅一「フロイス日本史」(『国史大辞典 12』(吉川弘文館、1991年) ISBN 978-4-642-00512-8)
(P:歴史/P:歴史学/PJ日本史)。
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更新日時:2008年7月24日(木)14:27
取得日時:2008/08/21 23:37