パブ(Pub)は、もともとイギリスで発達した酒場のこと。Public house の略。
日本では、和風の居酒屋や小料理屋などに対して、洋風の飲み屋をパブと称することがある。しかし、本来の意味からかけ離れ、一種の風俗営業店の業態を指すことも多い。
目次
1 英国のパブ
1.1 概要
1.2 歴史
1.3 近況
2 アイルランドのパブ
3 日本のパブ
3.1 様々なパブ
4 関連項目
5 外部リンク
6 関連書
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英国のパブエディンバラにあるパブ
イギリスにはパブが街のあちこちにある。イギリス国内で数万軒はあるとされ、男性を中心に、老若を問わずたいへん親しまれている。カウンター席や椅子席を設け、主にビールを提供しており、食事には余り重きを置かない。大きなパブではランチタイム、及び夜の早い時間に食事を供するところがある。パブランチと呼ばれるこうした食事は、基本的にはすでに調理済みの食材(ローストビーフなど)に付け合せの茹で野菜などを添えたものである。小さいパブでは食事は一切供さず、つまみもポテトチップ(英語ではクリスプスcrisps)程度しか置いていないのが常である。繁華街にあるパブでは週末や夜の遅い込み合う時間では多くの客が立ったままでビールを片手に時間を過ごすのが普通であり、日本の居酒屋などのように着席して飲むことは少ない(そもそも座席数が少ない)。カウンターまで客が自らおもむいて直接バーテンダーに注文し、飲み物を受け取ったらその場で清算するキャシュ・オン・デリバリーという様式が基本である(日中の空いた時間であり、もしウェイトレスなどを置いている中規模以上のパブであればテーブルで注文することも可能)。数人でパブに行った場合、各人が代金を払うのではなく、誰か代表者が全員分の代金を支払う習慣がある。バイイング ア ラウンド(buying a round)と呼ばれる習慣で、次の機会の代金支払い時には別の人物が支払いを行う。そのようにして帳尻を合わせている。
元々は、酒の提供だけではなく、簡易宿泊所や雑貨屋の機能も備えた場所として18世紀から19世紀頃に発達したものである。1868年の文献にパブという言葉が現れたのが、この言葉が使われた最初であるとされる。この当時は、"public house"(公共の家)の名の通り、町の中の便利な社交場として存在していた。しかし、現在のイギリス都市部のパブはいわゆる居酒屋の機能しか持っていないのが普通である。イギリスの地方の町のパブには、クリケット場を併設するなど、「公共の家」の名残を持つものも多い。また、サッカーなどのスポーツ観戦のためには高額な衛星放送に加入しなければいけない現代の英国(やアイルランド)では、パブに赴いてパブに設置された大型テレビなどで友人と共にスポーツ放送を見て休日の午後を過ごす風景は非常に一般的である。
歴然とした階級社会であったかつてのイギリスにおいては、パブの内部は二つ以上に分けられている事がしばしばあり、労働者階級用の空間(パブリック・バー)と中流階級以上の客のための空間(サルーン・バー)は区切られていて入り口も別につけられていた。現在ではこうした区別は廃止されたが、古いパブではその名残である間仕切りなどを目にする事ができる。イギリスほど階級差別が激しくなかったアイルランドではパブにはあまりそうした区別はないが、かつてイギリス人が主に利用していたビクトリアン・パブなどと呼ばれる形式の古いパブではそうした区切りが見られる。また、男性と女性用に場所を区切ってあるパブもかつて存在していた。
このように英国に根付いた存在であるパブであるが、1970年代から人気が下降する危機があった。1970年代は大手ビールメーカーが英国ビール市場の85%を占有していた時代でもあり、パブの3分の2以上が大手ビールメーカーの系列下になり、大手ビールメーカーは効率を追及して、味の面では従来製法に劣るビールを供給していた。また1970年代には顧客の需要の多様化という問題もあった。
1980年代以降は従来の顧客のみではなく広い顧客をパブの客に取り込む事により危機を乗り越えた。また、大手ビールメーカーもビールの従来製法の取り込みを含む味の改善に取り組み、顧客の需要の多様化に対応するという面では、従来の形式にとらわれない多様なバーが生み出され、再び顧客を取り込むことに成功した。
アイルランドにもパブが多くあり、「アイリッシュ・パブ」(Irish Pub)と呼ばれる。これは、一般家庭などで作ったビールを近隣の人に飲ませていたものが起源であるといわれる。イギリスと較べ、雑貨屋などと兼業しているパブが多い。また、植民地時代から続く古いパブでは天井が低く、窓の少ない、または小さいパブが多い。これはイギリス政府による建物に対する税金を避けるためであった。アイルランドにある最古のパブは600年以上も前に建てられたものである。アイルランドにおいては現在も近隣の住民が子供や老人も含め老若男女を問わずに集まり歓談する(未成年は夜9時以降はパブへの滞在は禁止であるが)、地域の交流場としての役割があり、どのような小さな通りや寒村にもかならず生活の中心としてパブが存在している。近年では経済成長と近代化により、ディスコやクラブの要素も取り入れた豪華なスーパー・パブと呼ばれる巨大パブも多く見られるようになってきている。アイルランド国外にも、移民として世界各国に移住したアイルランド人たちが集まる場所として多くのアイリッシュパブがアメリカを代表として世界中の移民の多い国・都市に存在している。また最近では世界的にアイリッシュ・パブの流行があり、アイルランド系の客のみではなく、各国で地元の人間を対象としたアイリッシュ・パブが多く存在している。この流れにより、日本にも近年多くのアイリッシュ・パブが開業している。
日本では、「イングリッシュ・パブ」や「アイリッシュ・パブ」等と称し、上記のような本来の意味であるパブを志向した店舗もあるものの、イギリスなどのパブとは大きく異なるものが多く、一般的にもそのようなものが「パブ」であると認識されている。内容は必ずしも一定でないが、ホステスがいて比較的安価に飲んだりカラオケのできる店をパブあるいはスナックと称していることが多い。軽食と酒類の提供を主にしているところをスナックと呼び、女性による接待を主にしているところをパブと呼ぶとする人もいるが厳密な定義ではない。
たいていカウンター席とボックス席が用意されており、女性はカウンター内にいる(客の隣には座らない)という形式の店と、女性が客の隣に座って接待をする店がある。
なお、飲食業として登録する場合には食品衛生責任者の資格を持つものがいなければいけない。この場合、保健所が管轄することになる。深夜0時過ぎまで営業を行なう場合には「深夜における飲食店営業等」の許可も必要になる。また、接待を伴う場合には風俗営業とされ、風俗営業許可をとらなければいけない。この場合、公安委員会が管轄することになる。