パクス・アメリカーナ(ラテン語:Pax Americana (パークス・アメリカーナ))とは、超大国アメリカ合衆国の覇権を基盤とする「平和」のこと。ローマ帝国の全盛期を指す「パクス・ロマーナ(ローマの平和)」に由来する。Pax は、ラテン語で「平和」の意である。
目次
1 定義
2 冷戦下の「パクス・アメリカーナ」
3 冷戦終結後の「パクス・アメリカーナ」
3.1 平和とは対照的な世界情勢
3.2 アメリカによる平和の特徴
4 関連項目
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その開始時期については、主に次の2つのものが一般的である。
第二次世界大戦終結時(1945年)から始まったとするもの
東西ドイツ統一及びソ連解体に見られる冷戦終了(社会主義体制の崩壊後 - 1990年代初頭)から始まったとするもの
後者は、純粋に合衆国のみによる「平和」であるが、前者の中の冷戦期においても、合衆国とソ連の覇権の下、「平和」な状況が継続したものであり、これを「パクス・ルッソ=アメリカーナ(Pax Russo-Americana ロシアとアメリカの平和)」と称することもある。また、この時期の「平和」の本質は、核の抑止力にあったため「核の平和(Pax Nuclei パクス・ヌクレイ)」と称すべきとの論者もいる。[要出典]
「パクス・アメリカーナ」とは、アメリカがソ連を盟主とする東側諸国に対抗する西側の盟主として、北大西洋条約機構や日米安全保障条約を通して西側世界の軍事を引き受け、「核の傘」で資本主義諸国と西側世界を保護するとともに、マーシャル・プランなどによって西欧諸国の、エロア資金などによって日本・琉球・台湾の復興を支え、「ドルの傘」のなかで自由主義経済を編成する体制であったと概括することができる。ただし、より正確に世界経済システムとしての性質を考慮すると、ドルの傘(ドル体制)、すなわち世界一の金保有量を誇ったアメリカの「金ドル本位制」の側面と、IMF・GATT体制(「ブレトン・ウッズ体制」)という側面の2つにまとめることができる。後者は、「自由・無差別・多角主義」をスローガンとし、各国間の貿易や金融取引における障害を撤廃し、相互に自由平等な立場で競争をおこなうことによって、世界貿易の拡大、開発途上国の開発、国内の完全雇用を実現しようというものであった。
ソ連解体後、ヨーロッパにおける旧共産圏の諸国を含める形で「アメリカによる平和」は広がったが、その後もなお世界各地(主にアジア全域、アフリカ全域、ヨーロッパ旧共産圏、ラテンアメリカ)において地域紛争やテロリズムは絶えてはいない。例えば、アフリカにおいては、ルワンダ大虐殺やダルフール虐殺など、人類史上稀に見る大惨事が立て続けに発生しているし、当のアメリカ自体もアメリカ同時多発テロ事件から見えるように歴史上初めて「外敵」によって本国の中枢が脅かされる状況があらわれた。
パクス・アメリカーナがその他の「超大国による平和」と異なる点が幾つか存在し、例えば
自由民主主義、人権といった理念の発達・浸透・発展
国連、IMFやODAに見られるように、世界全体の安定を一国の利益を超えて多国間で解決していこうという姿勢・活動
などが挙げられる。
実際、テロリズムや反グローバリズムなどの抵抗を受けながらも、これらの諸概念はアメリカの推進する「グローバル・スタンダード」によって地球全体に浸透しつつあり、これらのアメリカの理想が達成された最終成果として、極めて持続的で安定した世界情勢(平和)が誕生する可能性も言われる。但し、アメリカは、この理念を軍事力によって推進しようとする傾向があると諸外国から指摘され、ノーム・チョムスキーをはじめとして、この実態に警鐘を鳴らす「超大国主導型の世界的安全保障(=パクス・アメリカーナ)」を否定する論者も存在する。