デジタル著作権管理 (Digital Rights Management, DRM) とは、電子機器上のコンテンツ (映画や音楽、小説など) の無制限な利用を防ぐための技術の総称。
目次
1 概要
2 DRM技術の仕組み
3 DRMへの批判
3.1 恒久的な再生が保障されていない
3.2 消費者の権利に対する不当な制限
3.3 特定環境への依存
4 脚注
5 関連項目
6 外部リンク
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基本的には、オリジナルのデータを秘密の符合方式によって記録し、特定のソフトウェアあるいはハードウェアでしか再生できないようにすることで、第三者による複製や再利用を難しくする技術。コピーガード技術の一種とみなす場合もあるが、コピーガードはメディアの物理的特性を利用してコピーを制限するのに対し、デジタル著作権管理は純粋なデジタルデータとソフトウェアを使って、たとえ同一のデータをコピーできても再生や閲覧が不可能になるように設計されたものをいう。インターネット映像販売において世界で70%のシェアを持つWindowsMediaDRMや、iTunes Music Store[1]から導入されたQuicktimeフォーマット向けのFairPlay、PDF向けのAdobe LifeCycleがその代表例である。
デジタル化されたコンテンツは複製しても品質が劣化しないことから、元ファイルから制限無くコピーを生成できる。デジタル著作権管理技術では、コンテンツ本体とは別にその再生に不可欠な鍵となるメタデータを用意し、特定のユーザだけにそのメタデータを渡す。鍵となるメタデータを持たないユーザはコンテンツ本体だけを持っていても再生できず、またメタデータは再生するコンピュータやユーザに一意に対応するため、結果として無制限な複製が抑制されることを狙いとしている。 映画産業や音楽産業などのコンテンツ供給者は、自らの利益を守るために DRM は必要であると主張している。 日本国内では、DRMを回避するハードウェア・ソフトウェアの流通は不正競争防止法の規制対象であり、米国ではこれに加えてソフトウェアやハードウェアの改造やリバースエンジニアリングの行為そのものがデジタルミレニアム著作権法(DMCA)違反とされる[2]。
DRMはデータとそのデータを再生するプレイヤーソフトの双方が対応していて初めて実現できるしくみであることから、特定のソフトウェアに依存したものになりやすい。現在、Yahoo動画、Gyao、DMM、BIGLOBEストリーム(みんなでBIGLOBEストリームを除く)など様々な動画サイトでWindowsメディアテクノロジーに拠るDRMが採用されており、それらのサイトはLinux、Mac OSでは視聴できない。逆に、Quicktimeに依存したDRMを採用しているiTunes Storeで購入したDRM付き音楽は、QuicktimeをインストールしていないWindowsでは視聴できない。
DRMを実現する仕組みにはさまざまなものがあり、その機構はコンテンツの形式や利用形態によって異なるが、ユーザが特定の再生ソフトウェア (iTunes や Windows Media Player など) を使い、暗号化されたコンテンツを復号しながら再生する方式が一般的である。暗号化に使われる鍵 (キー) は再生ソフトウェア内に隠されているか、あるいはネットワーク上からダウンロードされることが多い。この再生ソフトウェアがユーザのコンテンツ利用を管理するため、利用期間の切れた後には再生不能にするなどの処置が可能になる。しかしこの方法では暗号方式や再生ソフトウェアの内部構造がリバースエンジニアリングによって知られてしまうと、これらの制限を迂回するようなプログラムが作成できてしまう。この行為はシステムを破るという意味で「クラック」とも呼ばれ、DMCAはこのようなリバースエンジニアリングを法的に禁止するための強制力をもった法律である。
初期のDRM技術として知られているものに、DVD の映像信号を暗号化する CSS がある。CSSでは再生ソフトウェアに埋め込んだ固定鍵を用いる単純な暗号化を使っていたため、リバースエンジニアリングにより鍵が一般に知られてしまってからは、ほとんどその実効性が失われている[3]。Windows Media Player 形式など最近のDRM技術ではネットワークから鍵をダウンロードするものが多い。
既存のDRMの多くがソフトウェアのみで機能を実現するために、再生ソフトウェアをリバースエンジニアリングして修正を加えることでコンテンツはクラックされてしまう。そのため、近年ではハードウェアそのものにDRM 機能を埋め込み、ハードウェアに不正な改造を行わない限りDRMで保護されたコンテンツを再生できないようにする 強制アクセス制御機構をパソコンに標準塔載することが提案されている。マイクロソフト はこのような機構として次世代セキュアコンピューティングベース (Palladium構想) を提唱している。
DRM技術のほとんどが特定のメーカーによって定められ、その技術的詳細が一般に公開されていないことから、そのメーカーやサービスが活動を停止した際に、購入したコンテンツが将来にわたっても利用可能なのかが必ずしも担保されていない。
DRMはその技術的特性により、通常、複製以外の利用 (著作権法によって認められている範囲での抜粋や、他人への譲渡など) も制限することが多い。このため、DRM は購入した製品を自由に使う消費者の権利を奪っているとの主張もある。個人の私的利用を許可する DRM技術は現在のところ存在していない。以上のことからDRMは著作権の保護より消費者の権利を「制限」することが本質であり、"Rights"という言葉は一種のプロパガンダであるとして、DRMをDigital Restrictions Management(デジタル諸制限管理)と呼ぶべきだとの意見がフリーソフトウェア財団(FSF)などから上がっている[4]。