テュルク
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テュルク(T?rk)は、中央アジアを中心にシベリアからバルカン半島にいたる広大な地域に広がって居住する、テュルク諸語を母語とする人々のことを指す民族名称である。実際には政治的・文化的に分節された様々なグループあるいは民族の総称であり、テュルク系諸民族とも言う。

トルコ語の「テュルク」にあたる言葉として、日本語では「トルコ」という形が江戸時代以来使われているが、この語はしばしばオスマン帝国においてトルコ語を母語とした人々を意味し、現在ではトルコ共和国トルコ人を限定して指す場合が多い。英語では、この狭義のT?rk(テュルク/トルコ)と言うべき一民族をTurkish と呼び、広義のT?rk(テュルク/トルコ)であるテュルク系諸民族全体をTurkic と呼んで区別しており、ロシア語など他のいくつかの言語でも類似の区別がある。これにならい、日本語でも狭義のT?rkに「トルコ」、広義のT?rkに「テュルク」をあてて区別する用法があり、本記事もこれにならう。
目次

1 歴史

1.1 歴史的に活動した主なテュルク系民族・国家

1.2 モンゴル帝国の解体後に生まれた主なテュルク=モンゴル系国家

1.3 テュルク系の民族に特徴的な人名要素


2 現代のテュルク系諸民族

2.1 主権国家

2.2 連邦構成国・民族自治区

2.3 その他の主なテュルク系民族とその居住地


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歴史

中国史料に見られる丁零が、「テュルク」の語で自称・他称されていたと考えられる民族に関する記録の最古のものであると考えられている。丁零は匈奴と同時代にモンゴル高原の北方、バイカル湖あたりに居住していた遊牧民で、匈奴衰退後の34世紀ごろ南下して「高車丁零」を立てたが、6世紀前半に柔然に滅ぼされた。同じ頃、中国史料に鉄勒(現代中国語発音:ティエ・ラー)という当て字で記録される、テュルクの名を持つ人々が現れ、丁零の原住地バイカル湖沿岸から、中央アジアのカスピ海西岸に至る広大な地域で遊牧していた。また、同じ6世紀中頃に、やはりテュルクの音写名で記録される突厥(とっけつ、現代中国語読み:トゥー・ジュエ)が現れ、柔然を滅ぼし鉄勒諸部族を服属させてモンゴル高原からカスピ海北岸のキプチャク草原に至り、ソグド人などの定住民が居住する中央アジアのオアシス地帯までも支配する大帝国を築き、その支配のもとで中央ユーラシア全域に及ぶテュルク世界の原型が形作られた。

8世紀に突厥が滅びた後、モンゴル高原を支配した回鶻(ウイグル)の遊牧国家が崩壊すると、テュルク人のオアシス地域への南下、定住化が始まった。同時に在来のオアシス居住民(元は印欧語族イラン系の言語話者)のテュルク化が始まり、時代が進むにつれ中央アジアが「トルキスタン」(「テュルク人の土地」を意味する)と呼ばれるに至る契機となった。

イスラム世界に属した西アジアへのテュルクの進出は、はじめマムルーク(奴隷軍人)として個人個人が到来することによって始まったが、同時に定住・遊牧のテュルク人にイスラム教が次第に受け入れられてゆき、やがてイスラム化したテュルク人が遊牧部族の組織力を保ったまま西アジアに進出するようになった。トゥルクマーンと呼ばれた彼らのうち一派は、中央アジアからシリアに至るセルジューク朝を立て、アッバース朝カリフからスルタンの称号を与えられてスンナ派の擁護者としての地位を確立する。また、トゥルクマーンの一部はアナトリア半島に進出し、ルーム・セルジューク朝、ついでオスマン朝を立て、その支配下でアナトリアのテュルク化・イスラム化が進んだ。

一方、セルジューク朝解体後の中央アジア方面は、ウイグルの崩壊後分裂していたモンゴル高原を統一してモンゴル帝国を立てたチンギス・ハーンによって征服され、テュルク遊牧民たちもその支配下に入った。しかし、帝国の西方に建国されたチャガタイ・ハン国キプチャク・ハン国イル・ハン国ではいずれも支配者のモンゴル系遊牧民たちが、土着の優勢なテュルク系ムスリムの遊牧民たちと一体化していき、イスラム化・テュルク化してティムール朝などのテュルク=モンゴル系イスラム王朝を打ち立てた。その後、アゼルバイジャンイランではテュルク系遊牧民の軍事力を背景にサファヴィー朝などの諸王朝、キプチャク草原ではキプチャク・ハン国を解体して生まれた諸ハン国が興り、現在のテュルク系諸民族を形成していった。

その後、キプチャク草原は新興のロシアの支配下に入り、中央アジアも19世紀までにロシアとによって分割される。ロシア領内のテュルク人の間では、19世紀末からムスリムの民族的覚醒を促す運動が起こり、オスマン帝国を含めてテュルク人の幅広い連帯を目指す汎テュルク主義(汎トルコ主義)が生まれた。


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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
担当:Mamenoki