スプロール現象(sprawl-げんしょう)は都市郊外部のスプロール化(urban sprawl)を指し、都市が“無秩序に拡大”(sprawlの本来の意味)してゆく現象を指す。
目次
1 問題点
2 対策
3 反論
4 関連項目
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都市が発展拡大する場合、郊外に向かって市街地が拡大するが、この際に無秩序な開発が行われることをスプロール化と呼ぶ。計画的な街路が形成されず、虫食い状態に宅地化が進む様子を指す。
通常、都市郊外の小規模な農地などが個別に民間開発される場合、土地利用の合理性や周囲の道路との接続はあまり意識されないまま、もっぱらその土地の形状に合わせて、住宅地などが整備される。
このため、開発区域内は整理されていても、開発区域同士の間に計画性がなくなることになる。また、郊外農地の地権はあぜ道などにより区画されていて整形されてない場合が多いため、それに併せて整形が不十分となる。
これにより、道路網が不十分なため自動車の渋滞を招いたり、住宅の密集による災害時の脆弱性などにつながり、都市機能が低下する。一度スプロール化した地域では、地権の細分化、地価の上昇などにより、改善は非常に困難になる。
対策ニューヨークの衛星写真。中央のマンハッタン島は計画的に区画された街路が規則的に走っているのに対し、ロングアイランド(写真右側)やハドソン川の対岸、ニュージャージー州(写真左側)にはスプロール化した市街地が連なっている。
いったんスプロール化が進展した後は、改善が困難になるため、対策はスプロール化の防止が主眼となる。
スプロール化防止に有効なのは、公的機関などによる大規模な区画整理である。区画整理を都市開発に先立って行うことで、敷地を整形にすることが可能になり、都市機能が向上する。しかし、区画整理にも地権者の合意が必要なため、中々事業が進まない事例も多く見受けられる。
都市を新設する際に、計画性を前面に押し出し碁盤の目のような街路などを形成する方法がある。東アジアの古代都市や、近代においてはアメリカ合衆国や北海道の都市などがそれにあたる。しかし、都市がその計画範囲を超える場合は、スプロール化する可能性がある。都市の地図などで、都心部が合理的な区画になっているのに対して郊外が無計画化しているものが見られるのは、このためである。例として、北米の都市は、近代的な都市計画に基づいて設計されたが、モータリゼーションの進展により都市範囲が飛躍的に拡大したことなどから郊外でスプロール化が散見されるようになった。
特に、市町村に都市計画の権限のあるアメリカ合衆国においては保守的な州を中心に規制の緩やかな自治体も多く、規制の緩やかな地域ではスプロール化は盛んに起きている。規制の緩やかな地域は住宅地が豊富に供給され地価も安いため、中産階級には人気があり、開発が進む傾向がある。
欧州各地に設置されたローマ都市では都市城壁が、都市の拡大そのものを抑制しており都市計画の合理性が保たれる結果となっている。これは、首都のローマ市が無計画に拡張した反省からであると考えられる。
スプロール化した住宅地は、計画性に乏しいが故に逆に土地区画、住宅の種類や形態、住宅の供給年代の多様性をもたらしている。このため住民の年齢構成の偏りや多様な所得階層の存在という特徴も有し、そのため計画的に形成されたニュータウンで指摘されるような人口減少や急速な若年層の減少、高齢化といった諸問題を緩和させているという側面も持っているといえる。
スプロール化された郊外は、人口密度が比較的低く押さえられる限りは、住宅周辺に細分化された状態で田畑や山林が残るため、都心部と比べて住環境が良い。計画的に建設され整然と用途地域別に区分されたニュータウンよりも、街路が細く不規則で、田畑や山林が雑然と混在した住宅地は利点も多く、必ずしも問題視する必要はないという意見も多い。
また、民間主導の場合は市場原理にしたがって住宅が提供されるので、土地利用の合理性や周囲の道路との接続、(大都市圏では)鉄道・バスなどの公共交通へのアクセスが重視され、問題はおきにくいとの反論もある。同時に日本の地方都市郊外では道路網が充実しているので渋滞などの問題は少ないともいわれる(宇都宮市などの地方中核都市ではスプロール化に加えてモータリゼーションが進んだ結果、郊外でも渋滞が発生しており、LRTの建設により渋滞を解消することが計画されている)。
このように、小規模な郊外開発にはメリットも大きいので、民間による郊外開発をスプロール化として批判する立場は都市計画学のひとつの立場に過ぎないことに注意する必要がある。
関連項目
都市
都市計画
郊外
モータリゼーション
カテゴリ: 都市問題
更新日時:2008年5月24日(土)05:40
取得日時:2008/08/06 01:03