スパイ (Spy) とは敵対勢力などの情報を得るため、合法違法を問わずに情報入手や諜報活動などをする者の総称である。諜報員(ちょうほういん)、工作員(こうさくいん)、情報員(じょうほういん)、情報部員(じょうほうぶいん)、間諜(かんちょう)、間者(かんじゃ)、密偵(みってい)とも呼ぶ。“スパイ”と呼ぶのは敵方の者のみで、味方の者はエージェント(代理者)と称する言い方もある。
目次
1 概説
2 非軍事のスパイ
3 現代の諜報機関
4 防諜機関
5 実在したスパイによる回顧録
6 実在したスパイ
6.1 ソ連・ロシア
6.2 ドイツ
6.3 東ドイツ
6.4 ポーランド
6.5 チェコスロバキア
6.6 アメリカ
6.7 イギリス
6.8 フランス
6.9 イスラエル
6.10 北朝鮮
6.11 中国
6.12 日本
7 スパイをテーマとした作品
7.1 ゲーム
7.2 小説・映画
7.3 漫画
7.4 楽曲
7.5 書籍
8 関連項目
9 脚注
10 外部リンク
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政治・経済・軍事機密・科学技術などの情報をいち早く入手することは戦時・平時を問わず戦略上重要であり、この種の行為は古代から行われてきた。世界各地の神話や古文書にもしばしば描写される。『孫子』においても、「用間」としてわざわざ一章がたてられている。内容は非常に具体的であり、離間工作の方法、敵の間者を二重スパイとして活用する「反間」などの手法が詳細に記されている。日本の忍者もスパイの範疇に属する。
SPYは、espy(見つける、探し出す)と同じで古期フランス語でespion(見張る者)の意味がある。espionage(諜報活動:現仏語)の語源。印欧語で「見る」を意味する語幹「spek」に由来する。
近代以降、各国はスパイ網を組織化・巨大化させ、諜報活動を繰り広げた。特に第二次世界大戦後の東西冷戦期には、世界各地で激しいスパイ活動が行われ、多くのスパイ事件も発覚している。この状況は、米ソ二極体制が終結した現在でも変わってはいない。一般に、法律で取り締まりの対象になるスパイは内部情報を持ち出す関係者で、その情報を買い取る外国政府の情報機関員(大使館に所属し外交特権を持つ書記官・駐在武官をしていたりする)は「ケースオフィサー」という。
ケースオフィサーの任務と、スパイの任務は異なる。ケースオフィサーが行うのは、主に敵側の情報に近づきやすい人間や、有用な人間をスパイとして獲得する獲得工作と、自らの下にいるスパイの管理、情報の取りまとめと本国への報告である。敵側の暗号担当者であったり、電信員であったり、あるいはマスメディアの人間、軍人に近づいて友好的に接し、次第にスパイとして育てあげていくのである。場合によっては自らが外国のスパイとして働いていると自覚すらさせないケースもある。スパイの任務は、まさにその立場や能力を活かし、ケースオフィサーの望む情報や人間、暗号機、暗号書や重要な機密文書などを直接獲得してくることである。多くの場合、海外に赴任したケースオフィサーは赴任国の現地人を使ってスパイ網を作り上げることに邁進する。また、ケースオフィサーの管理を経ずに直接、単独で目標国に潜入するスパイもいる。こうしたスパイは、完全な地下活動や秘密の拠点に長期間潜伏する者もいるが、堂々と偽の経歴を利用して該当国で一定の社会的地位を占めることもある。このような潜入の場合は、しばしば情報収集だけでなくプロパガンダの流布など、積極的な工作活動を行う場合もある。
小説、映画の影響により派手な活動が連想されがちであるが、古典的表現である「外套と短剣」に表されるように、実際のスパイは実に地味な活動をしている事が多く、本来別の存在である。忍者や007シリーズ等、大衆向けに膾炙したフィクションが先入観の原因と考えられる。このような破壊工作などは、実際には軍特殊部隊によって行なわれていることが多い。たとえば、戦場において工作活動や味方とするべき非合法の組織作りを担当するのは、往々にして軍の機関である。太平洋戦争における陸軍中野学校出身のスパイ達の活動などが例としてあげられる。しかし、地味な活動だけではなく、時にはスパイも暗殺、破壊工作、拉致などの任務に就く事もあり、スパイによって引き起こされた事件が多くある。また、敵施設への潜入や盗撮、窃盗なども行うことがあり、暗号機や暗号書などがその標的になることが多い。