不飽和脂肪酸(ふほうわしぼうさん、unsaturated fatty acid)とは、1つ以上の不飽和の炭素結合をもつ脂肪酸である。不飽和炭素結合とは炭素分子鎖における炭素同士の不飽和結合、すなわち炭素二重結合または三重結合のことである。天然に見られる不飽和脂肪酸は1つ以上の二重結合を有しており、脂肪中の飽和脂肪酸と置き換わることで、融点や流動性など脂肪の特性に変化を与えている。また、幾つかの不飽和脂肪酸はプロスタグランジン類に代表されるオータコイドの生体内原料として特に重要である。
目次
1 性質
1.1 エライジン化
2 命名法
3 生化学
3.1 高度不飽和脂肪酸の生理活性
4 モノ不飽和脂肪酸
4.1 クロトン酸
4.2 ミリストレイン酸
4.3 パルミトレイン酸
4.4 オレイン酸
4.5 エライジン酸
4.6 バクセン酸
4.7 ガドレイン酸
4.8 エルカ酸
4.9 ネルボン酸
5 ジ不飽和脂肪酸
5.1 リノール酸
6 トリ不飽和脂肪酸
6.1 α-リノレン酸
6.2 エレオステアリン酸
7 テトラ不飽和脂肪酸
7.1 ステアリドン酸
7.2 アラキドン酸
8 ペンタ不飽和脂肪酸
8.1 エイコサペンタエン酸
8.2 イワシ酸
9 ヘキサ不飽和脂肪酸
9.1 ドコサヘキサエン酸
10 出典
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不飽和脂肪酸は同じ炭素数の飽和脂肪酸に比べて、低い融点を示し不飽和結合の数が多いほど顕著である。とくに魚類など寒冷地に生息する変温動物にとって、不飽和脂肪酸の低い融点は生体構成脂質として有用と考えられるし、また魚類は多種多様な不飽和脂肪酸を利用している。
また、不飽和脂肪酸に二重結合が複数あるとき自動酸化されやすく油脂の酸敗や自然発火などの原因となっている。リノール酸で言えば11番の炭素原子は二つの二重結合にはさまれていて活性を持つ。さらに、リノレン酸は11番のみならず14番も同様に活性を持つ。 逆にオレイン酸は二重結合がひとつなので酸化されにくい。酸化によって脂肪酸分子の重合が進むと、高分子化して固化するが、オリーブ油は70?80%がオレイン酸である為、他の植物油に比べると固化しにくい。
また、不飽和脂肪酸が活性酸素と反応して生じる脂肪酸酸化物ラジカルは生体内で比較的長寿命であることから、DNAが活性酸素で切断される発癌機構に対しての寄与も示唆されている。
油脂に含まれる不飽和結合の割合はヨウ素価によって求めることができ、値によって乾性油・半乾性油・不乾性油に大別される。
オレイン酸などcis型不飽和脂肪酸を亜硝酸、セレン、亜硫酸などを作用させて(付加と引き続く脱離反応で)融点の高いトランス体へと変換することをエライジン化(Elaidinization)と呼ぶ。特にオレイン酸は広く一般の油脂の成分として見出され、油脂をエライジン化すると融点が上昇して固化するが、リノール酸・リノレン酸あるいは高度不飽和脂肪酸グリセリドの場合は固化しないので、オレイン酸の存在の指標とされることがある。
脂肪酸の命名法はIUPAC生化学命名法[1]に定義されている。(尚、この項の符号Rule Lip-…は同命名法の節番号を示す)