スカッド(Scud)はソビエト連邦が開発したR-11弾道ミサイルと、その改良型地対地ミサイルに付けられたNATOコードネーム。スカッドを独自に改良したミサイルが各国で開発されており、これらのミサイルがスカッドと呼ばれる事もある。
目次
1 概要
2 拡散
3 要目
4 関連項目
5 外部リンク
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スカッドは第二次世界大戦中にドイツが開発したV2ロケットのソ連版拡大コピーであるR-1(SS-1A)を元に、OKB-1(後のコロリョフ設計局)によって1950年代初期に開発が始まり、1957年にR-11(SS-1B Scud-A)がソ連陸軍に配備された。この後、マケイエフ設計局によって推進系が改良され射程が延びたR-17(SS-1C Scud-B)が開発され、配備されている。現在では旧式化しており、ソ連のScud-A/Bは、1980年代にOTR-23 Oka(SS-23 Spider)に置きかえられて退役した。しかしながら現在でも旧東側、中東諸国を中心に多数が実戦配備されている。 NATOとアメリカ軍は、スカッドを四種類に分類しており、それぞれ、スカッドA(SS-1b)、スカッドB(SS-1c)、スカッドC(SS-1d)、スカッドD(SS-1e)と呼んでいる。
スカッドは主にTEL(Transporter-Erector Launcher 輸送・起立・発射機)と呼ばれる大型の車両に載せられて移動するため、機動力に優れる。このTELは発射台も兼ねており、発射時にはスカッドは90度起立する。この仕組みは後の弾道ミサイル、RT-2PMトーポリ(SS-25 Sickle)でも継承されており、冷戦後もアメリカはこの移動式の弾道ミサイルの動向を警戒している。(訓練であってもアメリカへの事前連絡なしに移動式弾道ミサイルの発射体制をとると、アメリカはそれに応じた迎撃・反撃体制をとる)
冷戦中のソ連は当時の友好国への軍事援助として多数のスカッドBを輸出した。このうち主として中東諸国でスカッドは多数の実戦を経験している。1973年の第四次中東戦争ではエジプトからイスラエルへ4発のスカッドBが発射され、これが初の実戦使用。イラン・イラク戦争では双方の首都を目標に約600発のスカッドの射ち合いになり、ソビエト連邦のアフガニスタン侵攻では2,000機に及ぶミサイルが発射され、また湾岸戦争ではスカッドの改良型であるアル・フセインがイラクからサウジアラビアに45発、イスラエルに40発が発射された。チェチェン紛争でもロシア軍が使用している。
朝鮮民主主義人民共和国は1975年から1980年代の間にエジプトから2基のスカッドCを購入し、分解調査して独力で生産する能力を獲得した。このスカッドは後に性能向上が図られ、射程1,000km以上のノドンと呼ばれるミサイルに発展した。朝鮮民主主義人民共和国製のスカッドとノドンは輸出が確認されており、イエメンなどが保有している。またミサイルと技術資料をセットで中東諸国へ売却しており、結果としてイラクのアル・フセイン、パキスタンのガウリ、イランのシャハブ、シリア、リビアの独自改良型等の多くのミサイルを生み出した。
スカッドはソ連のミサイルにつけられたNATOコード名であるから、ソ連以外の国で生産されたコピー品や独自改良型ミサイルは、厳密にはスカッドとは呼べない。しかしながら今日ではこれらのミサイルを含めてスカッドと呼ぶ事が多い。
スカッドを配備した国は以下の通り。
CIS構成国ロシア、アゼルバイジャン、アルメニア、ウクライナ、カザフスタン、グルジア、トルクメニスタン、ベラルーシ
東欧諸国スロバキア、セルビア、チェコ、ハンガリー、ブルガリア、ポーランド、ルーマニア
中東諸国アフガニスタン、アラブ首長国連邦、イエメン、イラク、イラン、シリア、パキスタン
アジア諸国朝鮮民主主義人民共和国、ベトナム
アフリカ諸国アルジェリア、エジプト 、コンゴ民主共和国、リビア