ジンギスカンは羊肉料理で、マトン(成羊肉)やラム(仔羊肉)を用いた焼肉料理の一種である。「成吉思汗」という漢字名で表記されることもある。日本発祥の料理で、チンギス・ハーンやモンゴル国とは無関係。北海道遺産の一つ。
目次
1 特徴
2 ジンギスカン鍋
2.1 ジンギスカン鍋以外によるジンギスカン
3 種類
4 起源説
4.1 戦前
4.2 戦中・戦後
5 調理法
6 脚注
7 外部リンク
//
戦前に出現した当初は、酒の肴、おかずとして羊肉のみを焼いたものであり、戦後に至って野菜を加えて焼くようになった。後に野菜を敷いた上で羊肉を蒸し焼きにする方法や、うどんを入れる焼き方も行われるようになった。
北海道の郷土料理として知られているが、他にも本州でも岩手県の県北沿岸部や遠野市、長野県飯田市、下伊那郡地方、信州新町、岡山県真庭市の蒜山高原、福島県石川郡平田村など、局地的に常食されている地域がある。また、千葉県のマザー牧場では創業以来ジンギスカンが名物メニューとなっている。
これらの地域では花見をはじめとした宴会や集会の打ち上げなどで食べられることが多く、俗に「盆・暮れ・正月・花見にジンギスカン」とまで言われている。北海道ではアウトドアで行なわれる「焼肉」がすなわちジンギスカンを指す場合が多く、各種イベントには欠かすことができないものとなっている。
北海道を象徴する料理の一つとして、2004年10月22日、北海道遺産に選定された。
1才を超えた緬羊のマトンは、ラムと比較した場合の臭みが強いことは否めないが、食べ慣れた人々からは、「むしろジンギスカンには臭みが強いマトンの方こそうまい」という評価もされている。
なお、北海道においてもラム(仔羊肉)の普及は比較的最近のバブル期以降のことであり、それ以前は庶民向けの食用肉といえば豚肉とマトン、鶏肉の三種類だった。また北海道で現在のようにスライスした羊肉を焼くことが広まったのは、かなり時代が下って冷凍技術が進んでからで、それまでは厚切りか小さな塊状の肉を焼くことが多かったという証言もある。
現在は、羊肉に含まれる「L(エル)-カルニチン」という物質によって「食べても脂肪がつきにくい」という評判により、ジンギスカンを含め羊肉自体の評価が変わりつつある。
調理には専用の鍋として、鉄の浅い帽子のような形をした鋳物製のジンギスカン鍋を用いる。
ジンギスカン鍋の形は時代によって変化した。この種の鍋が現れた昭和初期の時点では、ストーブのロストル(火皿)のように平行の溝が設けられていた。取っ手は無かったため、すき焼き鍋の鍋掴みに似た器具、若しくは鍋面にある専用の穴に栓抜き型の取っ手を差し込んで鍋を動かした。
戦前のジンギスカン料理店「成吉思荘」の初期の鍋は特に大型だった。移動させるときは氷屋の氷を運ぶ大きなやっとこのような専用の運搬具を使い、鉄製焜炉ごと運んだ。重すぎて女性の腕力では容易に運べず、運搬専門の男子を雇っていた。
戦後、鍋の頂上から周辺に向かって星形に溝が作られ、取っ手が両脇に付いた。さらに室内用やガス焜炉用には、なるべく煙が出ないように、肉から出る脂や肉汁を火の中に落とす隙間がない単に凹凸がついただけの鍋も出現した。また、その周囲にドーナツ状になっている平坦な部分(汁溜り)に野菜を乗せることによって、焼く段階で、肉汁や脂肪分、調理法によっては肉から染み出したタレも野菜に染み込ませる調理法が定着してきた。
遠野市では、屋外でジンギスカンを調理する際、金属製のバケツに通風孔を開けたものを七輪代わりに使用することが多い。このバケツはジンギスカンバケツと呼ばれる。七輪と比べ、軽くて持ち運びが容易であり、ジンギスカン鍋の座りも良い。
遠野市内の金物店では、最初からジンギスカン用に作られた穴あきバケツが売られている。
ジンギスカンは炭火ないしはガスによって調理されることが一般的だが、近年は厨房設備の電化が進み、電磁調理器の普及が進んでいる。一般的なジンギスカン鍋は鉄の浅い帽子状で鍋底が平らではないため、電磁調理器への対応は困難と考えられてきた。しかし、松尾ジンギスカンの一部の店舗で採用されている鍋など、改良を加え電磁調理器に対応したジンギスカン鍋を実用化した例もある。この鍋は中心部が比較的大きくドーム状に盛り上がったジンギスカン鍋の本来の形を維持している。
近年の家庭ではジンギスカン鍋を使わずにホットプレートで代用されることも多く、花見など屋外の場合は焼肉用の金網、鉄板を使うこともある。この場合、材料以外には一般の焼肉や鉄板焼きとの差異は大きく見出しがたい。 特異な鉄板代用の例としては、北海道の一部地域に波形トタン板を用いるスタイルがあり、現在でもキャンプなどの際に行われる事がある。
近年アウトドアレジャーを楽しむアイテムとしてダッチオーブンが使われているが、その蓋を利用してジンギスカンを楽しむ事も行われている。
北海道においては、2つのタイプのジンギスカンがある。あらかじめタレに漬け込んで下味を付けた「味付けジンギスカン」と、生肉を焼き後からタレを付けて食べる「生ジンギスカン」である。