帆(ほ)とは、風により船の推進力を得るための器具である。ヨットなどの洋装帆船において英語「sail」からきたセイル(セール)またはこれが訛ったスルなどと呼称される。
目次
1 帆の構造
2 帆の起源
3 帆の力学
4 帆の種類
4.1 横帆
4.2 縦帆
5 縦帆の種類
5.1 ラテンセイル
5.2 ガフセイル
5.3 ラグセイル
5.4 スプリットセイル
5.5 ジブ
5.6 ジャンク帆
5.7 クラブクロウセイル
6 帆船の各帆の名称
6.1 コースセイル
6.2 トップセイル
6.3 トゲルンセイル
6.4 ロイヤルセイル
6.5 スカイセイル
6.6 ムーンセイル
6.7 スタンセイル
7 その他帆の呼称
7.1 エクストラセイル
7.2 トライセイル
7.3 メインセイル
8 帆の素材
9 注
10 関連項目
11 参考文献
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帆は幾つかの支持棒で支えられており、船から垂直方向に帆を支えるための柱を'マスト'と呼ぶ。また帆を水平方向に上方から支える支柱をヤードまたは帆けたと呼ぶ。帆を下から支える支柱をブームと呼ぶ。
帆を張ったり、畳んだり、マスト等に固定する際にはロープが欠かせない。大型のセイルは滑車(プーリー)等を使用して張ることが多い。ロープの結び方としては、帆を張る目的で生み出された様々な方法が存在する。
ヨットでは、後述する縦帆を使用するが、その主帆では、セイルの前辺をラフ、セイルの後辺のことをリーチと呼ぶ。
帆の起源エジプト新王国時代の壁画に描かれた船にある横帆(紀元前1411年から1422年にテーベの貴族の墓に描かれたもの)
帆の起源ははっきりしていないが、人類が船の使用を始めた直後に現れたと言われている。古代エジプト時代の墳墓から出土した花瓶(紀元前4000年頃のものと推定されている)の絵柄に帆をもつ船が描かれていた。初期は、追い風の時のみに使用する補助的な動力源であったが、その後の改良により帆のみで航行可能な帆船があらわれた。
帆が風により力を得る原理は、航空機や鳥あるいは風力タービン(風車)といったものの翼と基本的に同じである。風を受けている帆には、気流との相互作用により空気力が働いている。流体力学ではこの力を、流れの向きと垂直な成分の揚力と平行な成分の抗力に分けて扱うことも多い。風をはらんで張り出した帆の断面形(翼型)は適度な曲率を持っており、前縁付近での気流の剥離を抑制しうるため、平板状の翼よりも効率がよい[1]。
帆走においては、帆の張りを曲線状のままで安定させることが、うまくスピードを出すための条件となる。風が弱くては帆が上手く張れず、適切な翼型を維持できずにスピードが出ない。一方、風が強すぎても帆がはためいてしまい、好ましい翼型を維持できずにスピードが出ない。
船の進行方向と風上方向との間を成す角度と、理論帆走速度と風速の比を示したものを帆走ポーラー線図(ポーラーダイアグラム)と呼ぶ。この線図はヨットなどの帆船の基本性能を評価するために一般的に用いられるものである。
直感的には完全に追い風の状態、すなわち船の進行方向と風上方向の成す角度が180度の時、最高速度が出るように感じられるが、抗力だけでなく揚力も利用した方が合力が大きくなるため、実際のヨットなどでは100度から120度付近で最もスピードが出る。実際の帆走速度は、海流や波なども大きく影響するため、理論値通りになることは無い。レース用のヨットなどでは、風向や風速の好条件がそろえば風速以上の帆走速度が出る場合もある。
ほとんどの帆は、帆の張る方向で区別される、横帆(角帆、 ⇒Square sail)と縦帆( ⇒fore-and-aft sail)のいずれかに属する。ヨットなど小型帆船では縦帆のみで構成されるが、遠洋航海を目的とした大型の帆船では横帆を主として縦帆と組み合わされた帆装が施されている。
横帆(おうはん)とは、船の中心線と交差する方向に帆を張るものである。西洋帆船ではその形状から角帆とも呼ばれる。人類が最初に帆を発明したかは定かではないが、追い風の力を船の動力に得ることを目的としたいわゆる帆掛船が最初で、横帆が最初の帆のスタイルであると推定されている。