ジェンダー
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ジェンダーとは
文法における(Grammatical gender)のこと。

生物学的性(Sex:the fact of being male or female)のこと。

社会科学の分野において、生物学に対する、「社会的・文化的な性のありよう」、または「女性」と同義として使われる場合がある。

社会学者のイヴァン・イリイチの用語で、男女が相互に補完的分業をする本来的な人間関係のあり方。イリイチはその喪失を批判している。

先天的身体的・生物学的性別を示すセックス(sex)に対する、「社会的・文化的な性のありよう」のことを一般に日本ではジェンダーという[1](この場合の「ジェンダー」という用語それ自体には、良い悪いの価値判断を含むものではない)。

一方、欧米においては"gender"は、生物学的性の概念を含み、また文化的な差異とも異なるものとして認められる[2]生物のを示すジェンダー・シンボル(性別記号)。それぞれ火星金星を表す惑星記号に由来する。
目次

1 語源と用法

2 「Gender」から「ジェンダー」への誤訳

3 「社会的文化的な性のありよう」という意味における『ジェンダー』の例

3.1 具体例


4 社会的・文化的性の意識の変化

5 戦争とジェンダー

6 生物学とジェンダー

7 宗教とジェンダー

8 表現の自由とジェンダー

9 ジェンダーチェック

10 ジェンダーチェンジャー

11 関連文献

12 脚注

13 関連項目

14 外部リンク

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語源と用法

語源はラテン語のgenus(産む、種族、起源)である。共通の語源を持つ言葉としてgene(遺伝子)、genital(生殖の)、genre(ジャンル:仏語)などがある。「生まれついての種類」という意味から転じて、性別のことを指すようになった。

この生物学的性のイメージを基にして、20世紀初頭には、genderはフランス語などにおける有性名詞の性による分類ないし分類クラスをさす文法的な用語として用いられるようになっていた。

1950年代より、一部の社会科学の分野においてgenderは生物学的性よりもむしろ社会的性の意味で用いられるようになった。しかし1970年代の時点では、genderとsexをどのような意味で用いるかについてコンセンサスは存在しなかった。たとえば1974年版の「Masculine/Feminine or Human」というフェミニストの本においては、「生得的なgender」と「学習されたsex role」という現代とは逆の定義がみられている。しかし同著の1978年の版ではこの定義が逆転している。1980年までに、大半のフェミニストはgenderは「社会・文化的に形成された性」を、sexは「生物学的な性」として使用するようになった[3]。このように、社会科学の分野においてジェンダーという用語が社会・文化的性別のこととして用いられ始めたのは比較的最近のことであることが分かる。

しかし現在、英語圏では、genderは生物学的な性も社会的な性も指す単語として用いられる。前者の場合、単にsexの婉曲あるいは公的な表現として使用されていることになる。例えば、女子のスポーツ競技において、生まれつきの性別を確認するために染色体検査が行われることがあるが、これを指す用語として英語ではジェンダーベリフィケーション(gender verification)という用語を用いる。

複数の英英/英和辞書において"gender"は、第一に「言語学的性(文法上の性)」として、第2に、古くから使われてきた「生物学的性別(sex)」として記述されている(出典:ジーニアス英和辞典、Websterの辞書)。それらに続き、社会科学の分野において用いられる「社会的・文化的役割としての性」という意味の語として記述がなされることがある(出典: ⇒英語版ウィキペディア)。「言語学的性」とは、例えば男性を代名詞でhe、女性をsheと分けて表記するようなことである。「生物学的性(sex)」とは、ロングマン現代英英辞典によれば、"the fact of being male or female(男性または女性であることの事実)"と説明され、male(男性)は「子供を産まない性」、female(女性)は「子供を産む性」と定義される。またヒト以外の動物の雌雄を記述する場合にも用いられる。「社会的文化的役割としての性」とは、その性(sex)から想起される「男らしさ」「女らしさ」といった様々な特徴のことである。

ジョーン・w・スコットの著書『ジェンダーと歴史学』によれば、近年、欧米の社会学において、"gender"という用語はほとんど(7割程度)の場合、「女性」と同義で使用されている(例:"Gender and Development" 「女性とその経済力向上」)。


「Gender」から「ジェンダー」への誤訳

日本において「ジェンダー(gender)」は、「社会的文化的性差」と誤訳され、間違ったまま用いられる例がいまだに残る。シカゴ大学のフェミニスト、山口智美氏は『バックラッシュ!なぜジェンダーフリーは叩かれたのか?』の中において(281p)以下のように語っている。

『「ジェンダー」定義をめぐる混乱についても、もともと、ジェンダーの定義が導入時に「社会的文化的性差」と誤訳されてしまった、という問題が大きいと思う。英語でいう「ジェンダー」は「性差」ではなく、「社会的・文化的な性のありよう」といった意味合いだ』。

医学の分野では「生物学的な性」として使われる「gender」は、社会科学の分野において時々「社会的・文化的な性のありよう」の意味で現在使われているが、日本におけるように「社会的文化的性差」と翻訳したり、「差別」と同義的使われ方をするのは明確な誤謬であり、今後の是正が必要である。


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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
担当:Mamenoki