サービス残業(サービスざんぎょう)とは、雇用主から正規の賃金(労働基準法が定める時間外労働手当[1])が払われない時間外労働の俗称であり、賃金不払残業とも言う。雇用主がその立場を用いて被用者に強制を強いる場合が一般化している。 近年は企業の効率化による人件費抑制と人減らしの中、かつて社員で補っていた業務を残業させられない非正規社員に置き換えられたことで、正社員が過剰に働かざるを得ない状況が発生している。特に、外資系より日本の企業がサービス残業を強いる傾向が強いと指摘される。 サービス残業は長時間労働を招くため、過労死や過労自殺、その前段階でうつ病などを発生させる原因となることもあり、サービス残業の存在を知りつつ放置する行為は刑事罰にあたる違法行為となっている。“サビ残”と呼ばれることもある。
目次
1 サービス残業の形態
1.1 労働者に残業申請を行わせない
1.2 職場外での仕事の強制
1.3 裁量労働制の利用
1.4 管理職に昇進させる
1.5 定時退社日や残業禁止期間の利用
1.6 半端な業務時間を切り捨てる
1.7 帰宅拒否症候群
2 サービス残業の実態と対応
2.1 労働基準監督署による是正勧告など
3 アルバイト、パートのサービス残業
4 対策
5 ホワイトカラー・エグゼンプション
6 脚注
7 関連項目
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サービス残業は以下のような形態で発生する。
有形・無形の圧力により、残業申請を行わせない。タイムカードによる出退勤管理をしている企業では、定時に退勤処理を行わせたあとで働かせる場合もある。外部からは従業員が自主的に残って働いているように見える。「サービス」の語の由来でもある。
一例を挙げれば、「一日4時間以上/月30時間以上の残業をしてはならない」とする内規を作ったり、一つの課などで月に決められた一定時間まで、例えば180時間までの残業時間枠を設ける方法がある。
この種の規定の表面上の意味はあくまでも「この時間内に仕事を終わらせよ」である。しかし、このような規定だけを設けて仕事量と人員数のバランスを取る仕組みを作らなければ、なにかのきっかけで仕事量のバランスが崩れた際に従業員が「内規に反して」残業を始め、以後それが常態化してしまうことがある。内規に反して働いているという状態になるため残業申請は行いにくく、そのような職場では、内規は「この時間を超えて残業しても残業賃金は払わない」というサービス残業の規定になってしまっている。
この傾向は、むしろ労働組合がある会社において特に顕著である。規定の範囲外の残業申請を行うと、組合に対する報告書の作成などの煩雑な事務処理の発生などが嫌気され、労働者や管理職が残業申請をためらうケースが発生しやすいためである。また、近年の組合と経営のなれ合い傾向から、双方にとって責任問題となるサービス残業を隠蔽しようという圧力も加わる。逆に労働組合が無い会社の場合は、残業申請が青天井であり、サービス残業が発生し得ないようなケースも少なくない。
「職場での残業は認められないが仕事が完了することは求められている」場合に発生しやすい。いわゆる、仕事を持ち帰るケースである。就業時間外に働いているので厳密には残業ではない(「サービス労働」と言われることもある)が、実質的には残業である場合が多い。賃金の不払い以外にも、持ち帰った仕事をしている最中に事故にあった場合の労災や、情報漏洩があった場合の責任など問題が多い。
裁量労働制の利用
裁量労働制では、成果主義に基づき仕事の成果に対して報酬を払うため、(年俸制を採ることが多い)勤務時間管理を行わない。したがって、裁量労働制のもとでは残業という概念自体が存在しない。しかし、成果と報酬の関係が不明確(期待以上の成果をあげても給与に反映されないなど)なまま、サービス残業隠しに導入している企業も多い。また、法律条文に明確に列挙されている職種以外にも使用者側の独自解釈の元に裁量労働制を適用する場合もあり、この場合には違法なのか適法なのか判然としない状態のまま運用されていることになる。
裁量労働制では出勤・退社の時間は自由に決められるのが建前である。しかし、遅刻・早退控除のみを行い、一方で残業代のみを都合よくカットすることで、サービス残業と同じような時間外労働を行わせる場合もある。 また、マスコミのADや記者などは、部署によって休暇が年数日、一日15時間以上の労働の上に有給休暇も記録上での消化という悲惨な環境が常態化していると言われるが、裁量労働制の解釈によって表立たない傾向が強い。
近年では求人広告においても年俸制(月給表記の場合もあり)として募集し、時間外労働手当の支給を逃れようとする企業が増えてきており、転職・就職の際には注意が必要である。待遇項目等に時間外手当支給と表記されている場合があるが、表記の有無にかかわらず支給されなければ、違法となる。
管理監督者は労働基準法に定める労働時間などの規定の適用を受けない(41条)。そこで、名目だけ管理職に昇進させ、少額の管理職手当と引き替えに残業手当をカットする方法が採られることがある。第41条 この章、第6章及び第6章の2で定める労働時間、休憩及び休日に関する規定は、次の各号の一に該当する労働者については適用しない。
(略)
事業の種類にかかわらず監督若しくは管理の地位にある者又は機密の事務を取り扱う者
(略)
しかし、ここでいう「監督若しくは管理の地位にある者又は機密の事務を取り扱う者」とは経営と一体的立場にある者を指し、自己の労務管理についても裁量権を与えられている必要がある。