コモンズの悲劇(コモンズのひげき、The Tragedy of Commons)とは、多数者が利用できる共有資源が乱獲されることによって資源の枯渇を招いてしまうこと。共有地の悲劇ともいう。
生物学者ギャレット・ハーディン(1915-2003年)が 1968年に『サイエンス』誌に論文「The Tragedy of Commons」を発表したことで、一般に広く認知されるようになった。
目次
1 概要
2 事例と対策
3 参考文献
4 関連項目
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たとえば、共有地(コモンズ)である牧草地に複数の農民が牛を放牧する。農民は利益の最大化を求めてより多くの牛を放牧する。自身の所有地であれば、牛が牧草を食べ尽くさないように数を調整するが、共有地では、自身が牛を増やさないと他の農民が牛を増やしてしまい、自身の取り分が減ってしまうので、牛を無尽蔵に増やし続ける結果になる。こうして農民が共有地を自由に利用する限り、資源である牧草地は荒れ果て、結果としてすべての農民が被害を受けることになる。
ただし、実際にコモンズの悲劇が起こるのはその共有地がオープンアクセスの場合に限られる。希少資源の獲得など正の外部性(外部経済)の場合は、利害関係者に所有権を与えて管理させる事によって、コモンズの悲劇を防ぐ事が出来る。いっぽう大気汚染や水質汚濁、土壌汚染など負の外部性(外部不経済)の場合には、環境負荷を発生させる行為に対する規制的手法や、市場原理を活用する手法(外部不経済の内部化)が用いられる。
地球環境問題もコモンズの悲劇としてたとえることができる。地球はみんなものであるからこそ、みんなが好き勝手に利用すれば、環境を悪化させてしまう。そこで、地球の利用にかかわる財産権を定めることが、地球を適切に管理することにつながる。こうした環境悪化に対する処方箋としては、政府などが適切な規制をすることによる保全策が取られるとともに、近年では市場原理を活用する方法として環境税の導入が実施されている。
現地住民が利用する共有地や共有資源が、地域コミュニティの構成員に限って利用できる「ローカル・コモンズ」である場合(里山の入会地など)は、相互利益に配慮して利用するための制度が歴史的に整備されている場合が多く、この場合には収奪的利用を抑制する仕組みを備えているため、コモンズの悲劇は起こらない。そのため、身近なコモンズを利用して牧畜などを行う現地住民は、コモンズの適正管理を行っている草の根民活として評価する立場もある。これは、自然保護や地球環境問題の解決を、住民のローカル・コモンズ管理の手法に見習うという発想をもたらした。
ハーディンが論文を発表した後、多くの研究者が反論を唱えた。そしてハーディン自身もコモンズの悲劇が起こるのはオープンアクセスの時であると自らの主張を改めた。 しかし、発表以後、この論文を中心に議論が巻き起こり、この分野の研究が大きく発展した。その意味でのハーディンの功績は大きい。
また、知的財産権に関する議論の中で、コモンズの悲劇が同様の事例としてしばしば引き合いに出される。
参考文献
⇒The Tragedy of the Commons, by Garrett Hardin (1968)
関連項目
ローカル・コモンズ
公共、公共財
外部性、フリーライダー
社会的ジレンマ
環境経済学
ゲーム理論
アンチコモンズの悲劇
里山、入会地
宇宙船地球号
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更新日時:2008年7月23日(水)16:23
取得日時:2008/09/01 15:58