ゲンゴロウ
Dytiscus latissimus
分類
界:動物界 ⇒Animalia
門:節足動物門 ⇒Arthropoda
綱:昆虫綱 ⇒Insecta
目:コウチュウ目 ⇒Coleoptera
亜目:オサムシ亜目 ⇒Adephaga
上科:オサムシ上科 ⇒Caraboidea
英名
⇒Predaceous diving beetle
ゲンゴロウ(源五郎)は昆虫綱コウチュウ目オサムシ上科に属する水生の数科にまたがるゲンゴロウ類(ゲンゴロウ上科として一括する考え方もある)の総称。またその中でもゲンゴロウ科 (Dytiscidae) のみを指したり、ゲンゴロウ科に属する日本最大種Cybister japonicusのみの標準和名として用いられる。同じオサムシ上科の水生グループでも、幼虫が鰓呼吸をするコガシラミズムシ科やミズスマシ科はゲンゴロウ類には通常含めない。
目次
1 生態
1.1 幼虫
1.2 蛹
1.3 成虫
2 飼育
3 分類
3.1 ゲンゴロウ科 Dytiscidea
3.1.1 ゲンゴロウ亜科 Dytiscinae
3.1.2 ヒメゲンゴロウ亜科 Colymbetinae
3.1.3 ケシゲンゴロウ亜科 Hydroporinae
3.1.4 ツブゲンゴロウ亜科 Laccophilinae
3.2 コツブゲンゴロウ科 Noteridae
3.3 ムカシゲンゴロウ科 Phreatodytidae
3.4 ゲンゴロウダマシ科 Hygrobiidae
3.5 オサムシモドキゲンゴロウ科 Amphizodae
4 脚注
5 参考文献
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種によって水田や池などの止水域や、渓流、さらには海岸の潮間帯上部に位置するタイドプールや地下水などにも生息する。日本では水田が身近であり、そこに住む種は昔から親しまれてきたが、近年水田の農地改良による餌生物の減少や、護岸により幼虫が蛹になれないこと、農薬、水質汚染、ため池におけるブラックバスの無差別放流などで数を減らしている種が目立ち、かつては一部の地方では食用にされるほど多産した、代表種であるゲンゴロウCybister japonicusも準絶滅危惧(NT)(環境省レッドリスト)に指定されている。今日、日本の都市部や農村部でもっとも目立つ種は、中型種のヒメゲンゴロウとコシマゲンゴロウの2種であり、ハイイロゲンゴロウとマメゲンゴロウがそれに準じる状況である。
幼虫は細長い体をしており、終齢幼虫は成虫の体長のほぼ2倍にまで成長する。頭部には外部からも目立ち小動物の捕獲に適した鎌状に長くのびた鋭い大顎が発達している。これは成虫と違い、ほぼ完全に生きた獲物の捕食に依存して成長するために発達した、獲物の捕獲に特殊化した器官である。
大顎は注射針状になっており、獲物に食いつくと獲物を麻痺させる毒と消化液を同時に体内に注入し、体液と、消化されて液状化した筋肉や内臓などの組織を毒と消化液の注入に使われた大顎内の管から吸収し、口の入り口の毛で固形物をろ過して除き、消化管に飲み込む。このため、幼虫自身の体の大きさに比べて比較的大きい獲物まで瞬時に麻痺させて捕食することができる。このため、大型種の幼虫に咬まれると、ヒトの指でも消化液による組織の壊死を起こしたり、それによる重症の蜂窩織炎にまで至る症例が報告されているので、安易に素手を近づけることは極めて危険である。
獲物の種類は、一部の種ではメススジゲンゴロウやマルガタゲンゴロウを含む系統のようにミジンコにほぼ依存するものや、シャープゲンゴロウモドキのように若齢幼虫時代は甲殻類のミズムシ類に深く依存するといったように特定の獲物への依存性の強い狭食性の種が知られているが、ゲンゴロウ類全体としてはまだどの種が広食性でどの種が狭食性か、また狭食性の種では何に特殊化した食性を持っているかなど未解明のものがほとんどであるのが現状である。特に食物が不足していない状況においても共食いが見られる[1]。
大型種ではある程度成長するとオタマジャクシなどの両生類の幼生を主に食べるものが知られており、ゲンゴロウ類の大型種の進化と両生類幼生食性の関連を議論する説もある。
幼虫にはこうした獲物を待ち伏せで捕らえるものと、活発に泳ぎながら探索して捕らえるものがとある。飼育下の実験ではあるが、ヒメゲンゴロウの幼虫のように集団で獲物を襲うことが報告されている種もある。幼虫も空気呼吸であり、尾端にある一対の気門を時々水面に出して気管の中の空気を入れ替える。
水中に適応したゲンゴロウでも、一生全てを水中で過ごすわけではない。成熟した幼虫は上陸し、前蛹期の前から蛹の時期を経て、羽化後しばらくまでを地中に掘った蛹室で過ごす。土中に潜ってから蛹室をつくるものだけではなく、地表に泥をドーム状に積み重ねて蛹室をつくるものも知られている。