クロロホルム クロロホルム (chloroform) は化学式 CHCl3 で表されるハロゲン化アルキルの一種である。IUPAC名はトリクロロメタン (trichloromethane) であり、トリハロメタンに分類される。広範囲で溶媒や溶剤として利用されている。
IUPAC名トリクロロメタン(系統名)
クロロホルム(許容慣用名)
分子式CHCl3
分子量119.4 g/mol
CAS登録番号[67-66-3]
形状無色透明の液体
密度と相1.48 g/cm3, 液体
相対蒸気密度4.12(空気 = 1)
融点?64 °C
沸点62 °C
SMILESCCl(Cl)(Cl)
出典 ⇒国際化学物質安全性カード
目次
1 歴史
2 合成
3 性質
4 用途
5 反応
6 毒性
7 関連項目
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歴史
1831年 ドイツの化学者ユストゥス・フォン・リービッヒ、フランスの科学者ウジェーヌ・ソーベイラン
1847年 イギリスの医師ジェームズ・シンプソン (James Young Simpson) によりクロロホルムの臨床応用がエジンバラにて開始される。
1853年(あるいは1857年)、ジョン・スノウ (John Snow) なる人物が、ヴィクトリア女王にクロロホルム麻酔を行い無痛分娩に成功する。
この1853年(あるいは1857年)に出産時の麻酔として用いられたのが、クロロホルムが麻酔剤として利用された最初の例のようである。 ⇒[1]
その後外科手術の際の麻酔剤としての利用が、ヨーロッパで急速に広まった。しかし毒性、特に深刻な心不整脈などの原因になり易いという特徴を持ち、その犠牲者は「中毒者の突然死」と表現された。このためアメリカ合衆国では20世紀の初頭に、麻酔剤としての主力はジエチルエーテルへと移行した。高い治療指数と低価格という特長から、発展途上国では2006年現在でもジエチルエーテルが麻酔剤として好んで用いられる場合がある。一時期、ハロゲン系脂肪族炭化水素であるトリクロロエチレンがクロロホルムよりも安全な麻酔剤であると提案されたことがあったが、これも後に発がん性が確認された。
工業的には塩素とクロロメタン、もしくはメタンとを400-500℃で加熱することで得られている。この温度ではフリーラジカルハロゲン化反応が起き、メタンやクロロメタンが徐々に塩素化された化合物へと変換される。CH4 + Cl2 → CH3Cl + HClCH3Cl + Cl2 → CH2Cl2 + HClCH2Cl2 + Cl2 → CHCl3 + HClCHCl3 + Cl2 → CCl4 + HCl
最終的にはクロロメタン、ジクロロメタン、クロロホルム、四塩化炭素という4種類のクロロメタン類が得られる。これらの混合物は蒸留により分離される。
最初に工業化された合成法は、アセトンもしくはエタノールと、過塩素酸ナトリウムもしくは過塩素酸カルシウムとを反応させるというものであった。アセトンを用いた場合はクロロホルムと酢酸ナトリウムや酢酸カルシウム、エタノールを用いた場合はギ酸ナトリウムやギ酸カルシウムとの混合物が合成される。これらの混合物は蒸留により分離された。この反応はハロホルム反応として知られており、現在でもブロモホルムやヨードホルムを合成する際に用いられる合成法である。
重水素化されたクロロホルムは重水素化された水酸化ナトリウムと抱水クロラールとの反応により合成されるが、アルデヒドの水素原子のいくらかが重クロロホルム中に混入してしまうことがある。高い同位体純度を持つものはトリクロロアセトフェノンから合成される。
常温では無色で、強く甘い芳香をもつ液体である。多くの有機化合物をよく溶解する。 光や酸素の存在下で比較的容易に分解され、有害ガスであるホスゲンを発生する。また高温下でも分解が進行する。このため一般的な市販品には安定剤としてアルコール(主にメタノール、エタノール)やアミレンが添加されている。
19世紀後半から20世紀前半にかけて、一般的な吸入麻酔薬として外科手術の際に利用されてきた。その後、より高い安全性を持つものに置き換えられた。現在では冷却材であるクロロジフルオロメタンなどのフロン類製造が主な利用法となっている。しかしながらモントリオール議定書により、オゾン層破壊物質であるフロンの製造も減少すると考えられている。