カリスマ(charisma)とは、本来はギリシア語『新約聖書』のなかで使徒パウロが用いた言葉で、全てのキリスト者の働きに与えられる「神の恵み(カリス)」あるいは「神の賜物」を意味した。この言葉を学術用語として最初に用いたのは、ドイツの教会法学者ルドルフ・ゾームである。ゾームは、『教会法』(Kirchenrecht)第1巻(1892年)のなかで、1世紀の原始キリスト教のエクレシア(集会)を説明・分析するために、このパウロの概念を利用したのである。ドイツの社会科学者マックス・ヴェーバーは、ゾームのこの用法に示唆を受けながら、社会全般に普遍的に妥当する社会学的概念としてのカリスマ(Charisma)を形成した。すなわち、非日常的・超人格的・超自然的な資質を有する者としてのカリスマがこれである。ヴェーバーは何ゆえに支配は正当化されうるのかという観点から、合法的、伝統的、カリスマ的支配という正当的支配の三類型を構想し、カリスマの同時代的意義を強調した。
カリスマ的支配は、偉大な政治家・軍人・預言者・宗教的教祖など、政治や宗教の領域におけるカリスマ的支配者・指導者に対して用いられ、被支配者・被指導者は支配者・指導者のカリスマ的資質に絶大の信頼を置いて服従・帰依するのである。歴史上カリスマを持つと評される人物も、イエスやマホメット、カエサルやナポレオンやヒトラーのような、世界史を動かしたスケールの大きい人物が多かった。なお、ここで注意すべきは、ヴェーバーの言うカリスマは、善悪という価値判断からは自由な(「価値自由(Wertfreiheit)」な)概念ということである。その意味で、前述の四者やスターリン等は一様にカリスマの保持者と見なされるのである。
このようなカリスマ概念から、日本などでは「カリスマ」という言葉は芸能人やある職業において特別な人気や知名度を誇り、ファンから絶大な支持をもつ人物、または業界に大きな変革をもたらすなどした人物について、比喩的に「〜のカリスマ…」のように用いられる。また、ここから派生して「カリスマ美容師」などのように接頭語的にも用いる。
また宗教の領域でも、聖霊の導きで信徒たちが身体を震わせたり、きわめて大きな声で祈りを行ったりするような特徴のある教会を、宗派の名を超え、カリスマ系教会などと呼ばれている。これらはパウロやゾームの語法はもとより、ヴェーバーのカリスマの語法とも異なる使用法である。
参考文献
マックス・ウェーバー、世良晃志郎訳『支配の社会学』(?)(?)、創文社、1960年。ISBN 4423894017(1) ; ISBN 4423894025(2)
マックス・ウェーバー、世良晃志郎訳『支配の諸類型』、創文社、1970年。ISBN 442389405X
佐野誠『ヴェーバーとナチズムの間――近代ドイツの法・国家・宗教』、名古屋大学出版会、1993年。ISBN 4815802114
Rudolph Sohm,Kirchenrecht,Duncker & Humblot, Berlin,1892.
この項目「カリスマ」は、キリスト教に関連した書きかけ項目です。加筆・訂正などをして下さる協力者を求めています(P:キリスト教/PJ:キリスト教)。
カテゴリ: キリスト教スタブ | 価値観 | 宗教 | キリスト教 | 流行語 | バズワード
更新日時:2008年6月28日(土)10:54
取得日時:2008/08/18 20:25