エンテ型飛行機
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エンテ型飛行機である旧ソ連MiG-8

エンテ型飛行機(えんてがたひこうき)とは主翼の前方に前翼(先尾翼またはカナード翼)を持つ形態の飛行機のことである。この前翼を水平尾翼の代わりとしてピッチ制御を行うため先尾翼機とも呼ばれる。エンテ(Ente)とはドイツ語のことで、英語ではカナード(Canard)という。エンテやカナードという名称は鴨の飛翔時の姿が本形態の飛行機と似ていたことに由来している。なお前翼が主翼と同サイズの場合はエンテ型飛行機ではなくタンデム翼機に区分されるが、両者をほぼ同義で用いる場合もある。日本ではエンテ型や先尾翼という用語は第二次世界大戦以前の機体に使われることが多く、カナード翼という用語はそれ以後に開発されたジェット機で使われることが多い。
目次

1 概要

2 特徴

3 ジェット戦闘機での普及

4 採用例

5 エンテ型飛行機のギャラリー

6 脚注

7 関連項目

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概要

エンテ型は飛行機の形態としてあまり一般的ではないものの黎明期の航空機には先尾翼を持つ機体も多く、ライト兄弟フライヤーは機首に小翼を持ち、サントス・デュモンの14bis型機( ⇒en:Santos-Dumont 14-bis)にも先尾翼があった。ジェット機時代の到来後には西ヨーロッパ戦闘機を中心としてカナード翼を持つ機体がいくつも開発されており、近年のホームビルト機( ⇒en:homebuilt aircraft)では比較的普及している形態である。

単発のプロペラ機の場合は推進式のプロペラ配置と組み合わせて設計されることがほとんどであるが、これはエンテ型の利点を活かすためには牽引式よりも推進式の方が有利だからである。このためにエンテ型と推進式の概念が混用されることがあるが、両者はもともと別概念であり、それに当てはまらない例とて牽引式の双発機リベルーラ( ⇒en:Miles Libellula)、牽引式と推進式を折衷した方式(プッシュプル方式)のボイジャーなどがある。


特徴ドイツのスポーツ機( ⇒de:Gyroflug SC01 Speed-Canard)の上面図。この図の機体のようにエンテ型飛行機では後退翼を採用することがよくあるが、これには主翼上に置かれた垂直尾翼(舵)を機体の重心からなるべく離すという意味もある。同上の側面図。主翼端にはウィングレット状の垂直尾翼が配置されている。

エンテ型形式は胴体後部に水平尾翼を持った通常形式の航空機に比べるといくつかの魅力的な利点があり、それらをうまく活かせば航空機の高性能化を望むことができる。一方で利点の裏返しとも言える欠点を併せ持っており、同形式の航空機を設計する際は両者のバランス取りが不可欠となる。なお利点と欠点の一部はタンデム翼機とも共通している。
利点


迎え角時に先尾翼が先に失速するような設計を行うと、主翼の失速の前に先尾翼が失速して機首が下がるため主翼が失速しにくいこと。

通常形式に比べ、重心の前後方向の位置に対し余裕があること。

通常形式の航空機に比べ、機体を小型にまとめられる可能性があること。

通常の尾翼がマイナスの揚力を発生するのに対し先尾翼はプラス揚力を発生するので、設計によっては先尾翼が主翼の揚力を一部分担することが出来るため効率が良く、また主翼を小型化するなどして全機の抗力を低減できる可能性があること。これにより燃費の改善が期待できる。

先尾翼と主翼を近接させて一部が上下に重なるような配置にした場合(そのためには主翼形式は後退翼ないしデルタ翼に限られるが)、先尾翼が渦を生じさせ気流にエネルギーを与えて主翼上面の気流の剥離を遅らせることで高迎え角時の揚力を増大させることが出来ること。

欠点


ピッチ方向の安定のためには、迎え角に応じた揚力の変化割合(揚力傾斜)を先尾翼より主翼が大きくなるような設計をしなければならないが、一般に揚力傾斜が大きい翼は失速しやすいため、利点で挙げられた「主翼の失速の前に先尾翼が失速して機首を下げる」という条件と相反するような設計を強いられること。

機体をコンパクトにまとめ過ぎると重心位置から垂直尾翼までの距離を十分に取ることができず、の効きが悪くなり横滑りも起こりやすくなること。

先尾翼の吹き下ろしにより、主翼の、特に内側部分の効率が悪化すること。このために主翼面積や構造重量の増加が必要になることもある。

先尾翼は通常形式の尾翼に比べて反応が過敏であり、安定性が損なわれること。ただし後述する様にジェット戦闘機ではこの安定性低下を運動性向上に利用することもある。


ジェット戦闘機での普及サーブ37ビゲンの三面図。青色で示した部分がカナード翼である。通常の尾翼とカナード翼を併せ持つF-15S/MTD。短距離離着陸性能と運動性能の検証を目的とした試験機である。

1970年代以降、超音速ジェット戦闘機においてエンテ型は広く普及する事になる。その嚆矢となったのはスウェーデンのサーブ 37 ビゲン戦闘機である。超音速戦闘機においてそれ以前に採用例が多かった無尾翼デルタ翼形式の場合は、離着陸性能に劣るのが最大の欠点であった。尾翼つき形式にすればその短所も補えるのだが、空気抵抗が小さく、翼面積が大きく取れるという無尾翼デルタ翼形式のメリットがかなり損なわれる。そこで前述のエンテ型の利点のひとつである、高迎え角での揚力増大効果が着目される事になった。


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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
担当:Mamenoki