エノコログサ
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キンエノコロ

エノコログサ(狗尾草)は、日本全土に分布するイネ科エノコログサ属の一年草。俗称は、猫じゃらし。
目次

1 特徴

2 小穂の構造

3 変異

4 近似種

5 エノコログサ属

6 利用

7 関連項目

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特徴

エノコログサ(Setaria viridis P. Beauv.)は、単子葉植物イネ科エノコログサ属の植物で、1年生草本である。ブラシのように毛の長い穂の形が独特な雑草である。

草丈は40-70cmになる。は細く、基部は少し地表を這い、節から根を下ろす。夏には茎が立ち上がって伸び、先端に穂をつける。葉は匍匐茎にも花茎にも多数ついており、最大20cm位、イネ科としてはやや幅広く、細長い楕円形、薄く、緑色でつやがない。茎を包む葉鞘と、葉身の境目につく葉舌は退化して、その部分に毛だけが残る。また、よく葉が裏表逆になっている。葉の付け根でねじれて、裏側が上を向くもので、そのような葉では、上を向いた裏側の方が濃い緑でつやがあり、下を向いた表側の方が、裏のような様子になる。

花序は円柱形で、一面に花がつき、多数の毛が突き出すので、外見はブラシ状になる。イヌビエなどの穂から出る毛は、小穂を包む鱗片(穎)の先端から伸びる芒であるが、エノコログサの場合、この毛は芒ではなく、小穂の柄から生じる長い突起である。

夏から秋にかけてつける花穂が、の尾に似ていることから、犬っころ草(いぬっころくさ)が転じてエノコログサという呼称になったとされ、漢字でも狗(犬)の尾の草と表記する。猫じゃらしの呼称は、花穂をの視界で振ると、猫がじゃれつくことから。


小穂の構造

エノコログサの小穂は、果実が熟すると、一個の種子(実際には果実)を鱗片が包んだものに見える。小穂の中には花は一つしかない。しかし、本来は二つの小花があるべきもので、そのうち一つが退化したものと解釈されている。

穂の軸から出る、短い柄の先に、普通は一個の小穂がつく。第一包穎は背が低くて横長で、表側の基部を包む。第二包穎は第三穎と共向き合って小花を包んでいる。その内側には護穎と内穎に包まれた花がある。本来は、第三は消失した小花の護穎であったもので、小花の消失とともに内穎もなくなったものである。


変異

エノコログサはさまざまな所に生え、そのためもあってか種内変異が多い。穂が紫がかるものをムラサキエノコロ (forma purpurascens Maxim.)という。これは特に穂の剛毛が紫に染まるものである。また、海岸に生える型をハマエノコロ(var. pachystachys (Fr. et Sav.))という。違いとしては、背が低く、比較的よく地表を這うこと、茎や葉が短く硬いこと、それに、穂が短くほとんど楕円形で、小穂が密で毛が長く、そのために穂の外見がかなり異なる点が挙げられる。ただし、内陸に入ると次第に普通の型に移行する。

しかし、なんと言っても最大の変異はアワ(S. italica Beauv.)である。別種として扱われているが、エノコログサを元に作り出されたものと考えられている。エノコログサに比べると、高さは1mを越え、花序の長さは20cmにもなる。また、熟しても果実が簡単にはこぼれず、これは収穫をたやすくしている。かつては日本でも広く栽培された。これとエノコログサとの雑種があり、オオエノコロ(S. xpycnocoma (Steud.) Henrard ex Nakai)という。エノコログサに似るが穂が一回り大きく、また、エノコログサでは穂の軸の枝に小穂が一つずつつくのに対して、その枝に複数の小穂がついて、円錐花序になる点が異なる。畑地に時折見かけられる。


近似種

日本にある同属の種は7種ばかりある。

最も似ているのはアキノエノコログサ(S. faberi Herrm.)である。エノコログサによく似ているが、やや毛が多く、穂が細長くて垂れることなどが外見上の相違点である。小穂を見れば、エノコログサでは第二穎が小穂の長さと同じで、小花が隠れるのに対して、この種では第二穎が短く、小花が半分顔を出す。そのため、この両者は別種とされている。

ザラツキエノコロ(S. verticillata (L.) Beauv.)は、穂の剛毛に細かい逆棘があって、さわると非常にざらつくのが特徴である。群生しているところでは、穂が互いに絡み合っているのが見られる。

やや細い穂を出すのがキンエノコロ(S. glauca L.)である。穂は長さ3-10cmで直立し、茎や葉には毛がない。穂からでるブラシ状の毛が金色をしているのが名前の由来である。コツブキンエノコロ(S. pallide-fusca (Schumch.) Stapf et C. E. Hubb.)はこれに似て、小穂が一回り小さい。いずれも北半球の温帯に広く分布し、日本でもほとんど全土に普通に見られる。


エノコログサ属

この属の特徴は、先に述べたような小穂を、円錐花序につけるものである。また、小穂のつく枝に刺状の突起をもつ。世界に約100種が知られる。日本では、上記のエノコログサ類のほかに、以下の種がある。

イヌアワ(S. chondrachne (Steud.) Honda)本州から九州の木陰にはえる多年草で、夏から秋にかけてまばらな円錐花序をつける。

ササキビ(S. palmifolia (Koenig) Stapf)木陰にはえる多年草で、葉が幅広く、多数の縦じわがあって、ちょっとシュロの葉を思わせる。九州以南にあり、広くアジアの熱帯域に分布する。やはりまばらな円錐花序をつける。

日本産エノコログサ属(主なもの)

エノコログサ(Setaria viridis P. Beauv.)

オオエノコロ(S. xpycnocoma (Steud.) Henrard ex Nakai)

アキノエノコログサ(S. faberi Herrm.)

ザラツキエノコロ(S. verticillata (L.) Beauv.)

キンエノコロ(S. glauca L.)

コツブキンエノコロ(S. pallide-fusca (Schumch.) Stapf et C. E. Hubb.)

イヌアワ(S. chondrachne (Steud.) Honda)

ササキビ(S. palmifolia (Koenig) Stapf)


利用

現在は一般的に食用としては認識されていないが、粟の原種であるので食用に使える。若い葉と花穂は軽く火であぶり醤油などで味付けしたり(風味はポップコーンに酷似)天ぷらにしたりして食べられる。ただし終戦直後大量に食べて中毒を起こした学者がいる。近代以前の農村では酷い飢饉の際にカラスムギなどと共にこれを食用としたこともあった。オオエノコロは粟の遺伝子が流入しているので食用に供しやすい。 また、猫じゃらしの名の通り、これを用いて猫をじゃらすことができる。


関連項目ウィキメディア・コモンズには、 ⇒エノコログサ に関連するマルチメディアがあります。ウィキメディア・コモンズには、 ⇒エノコログサ属 に関連するカテゴリがあります。 カテゴリ: イネ科

更新日時:2008年5月14日(水)16:35
取得日時:2008/08/17 23:10


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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
担当:Mamenoki