アミグダリン アミグダリン (amygdalin - C20H27NO11) とは、青酸配糖体
分子式C20H27NO11
分子量457.429 g/mol
CAS登録番号[29883-15-6]
目次
1 解説
1.1 アミグダリンにまつわる俗説と健康被害
2 脚注
3 参考文献
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アミグダリンそのものには毒性は無いが、エムルシン (emulsin) という酵素によって加水分解されるとグルコース、マンデルニトリルが生成され、さらにマンデルニトリルが分解されるとベンズアルデヒドと猛毒であるシアン化水素(青酸)を発生する。
エムルシンはアミグダリンを含む未熟な果実などと一緒に含まれる事が多く、アミグダリンを含む果実が熟すにつれてエムルシンの作用によりアミグダリンは分解され、濃度が下がっていく。この時に発生する青酸も時間と共に消失していく。このため、熟したウメやアンズなどをヒトが経口摂取しても青酸中毒に陥る心配はほとんど無い。
エムルシンは、動物の体内に存在するβ-グルコシダーゼという酵素の一種である。高濃度のアミグダリンが残った果実などを経口摂取すると、エムルシンとβ-グルコシダーゼによってアミグダリンは体内で加水分解され、青酸を発生し、中毒を起こす。ただし、致死量は遊離した青酸の状態でおよそ60mgとされており、この量を満たすためには多くのアミグダリン(未成熟なウメで100?300個ほど)を必要とするため、少量であれば死に至るほどの効果は表れない。
アミグダリンを体に良い成分として扱われる場合もあるが、いずれも根拠の無い俗説であるとの見方が強い。
例えば癌(悪性腫瘍)に効く成分とされる事があるが、米国国立癌研究所(NCI)[1]によると、癌への治療や改善、延命などに対して効果が無く、逆に青酸中毒を起こし死に至る恐れがある事を指摘している[2]。
また、アミグダリンをビタミンB17として扱った事があったが過去の話で、現在では否定されている[2]。健康食品(サプリメント)などに配合される事もあるが、生体の生命活動に必須となる栄養素ではなく、欠乏症の症例も出ていない事からビタミンの定義から外れてしまう。つまり、アミグダリンはビタミンとは言えない。それどころか、サプリメントとして使用したために青酸中毒となり、健康障害を引き起こしたり、場合によっては死に至るなどおよそ健康とはかけ離れた結果となった例が多数報告されている。[3][4]なお、米国では米国食品医薬品局(FDA)により、アミグダリンの販売は禁止されている[4]。
そのほか、ビタミンCと共に摂取すると、相互作用によりアミグダリン由来の毒性が高まる例が報告されている[5]。
国立健康・栄養研究所は、「癌に効き、癌細胞だけを攻撃する」「ビタミンの一種であり、アミグダリンの欠乏が癌や生活習慣病の原因となる」などといったアミグダリンの持つとされる健康効果について、その科学的根拠が確認できない、あるいは否定されているにもかかわらず、その健康効果を強調した健康食品が後を絶たないことや、そのような健康効果について特別な期待をして過剰摂取することは健康障害を招く危険性があるとして注意を呼びかけている[4]。
脚注^ ⇒NCI
^ a b Vickers A. "Alternative cancer cures unproven or disproven?" CA Cancer J Clin. 54(2), 2004 Mar-Apr, pp110-8. ⇒PMID 15061600
^ ⇒アミグダリン、レートリル、レトリル - 「健康食品」の安全性・有効性情報 (国立健康・栄養研究所])
^ a b c ⇒話題の食品成分の科学情報:アミグダリンについて (国立健康・栄養研究所)
^ Bromley J, Hughes BG, Leong DC, et al. "Life-threatening interaction between complementary medicines: cyanide toxicity following ingestion of amygdalin and vitamin C" Ann Pharmacother. 39(9), 2005, pp1566-9. ⇒PMID 16014371
参考文献
⇒アミグダリン、レートリル、レトリル - 「健康食品」の安全性・有効性情報 (国立健康・栄養研究所)