アナログ信号処理(アナログしんごうしょり、英: Analog signal processing)とは、アナログ信号についてアナログ的手段で行う信号処理。「アナログ」とは、ここでは数学的に表された連続値の集合を意味する。一方「デジタル」は、信号を表すのに一連の離散的な量を使う。アナログ量は一般に電子機器の部品にかかる電圧、電流、電荷で表される。そのような物理量の誤差やノイズは、それら物理量で表されている信号の誤差を結果として生じる。
アナログ信号処理の例として、スピーカーのクロスオーバーフィルタによる音高の分解、ステレオでの音量調節、テレビでの色調調節がある。典型的なアナログ信号処理部品として、コンデンサ、抵抗器、コイル、トランジスタなどがある。
目次
1 アナログ信号処理のツール
1.1 畳み込み
1.2 フーリエ変換
1.3 ラプラス変換
1.4 ボーデ図
2 領域
2.1 時間領域
2.2 周波数領域
3 信号
3.1 正弦波
3.2 インパルス
3.3 ステップ
4 システム
4.1 LTI(線型時不変)システム
4.2 典型的なシステム
5 関連項目
6 参考文献
7 外部リンク
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システムの挙動は数学的にモデル化でき、時間領域では h(t) として表され、周波数領域では H(s) で表される。ここで、s は s=a+ib または電気工学的には s=a+jb という形式の複素数である(電気工学では電流を "i" で表すことが多いので、虚数単位には "j" を使う)。システムへの入力信号は x(t) または X(s) で表すことが多く、出力信号は y(t) または Y(s) で表すことが多い。
畳み込みは信号処理の基本概念であり、入力信号とシステムの関数を組み合わせて出力信号を得る。畳み込みは "*" で表される。
これは畳み込み積分であり、信号とシステムの畳み込みを求めるのに使われる。一般に a = -∞ で b = +∞ である。
フーリエ変換は、信号またはシステムを時間領域から周波数領域へ変換するが、あらゆる信号やシステムに適用できるわけではない。フーリエ変換可能な信号やシステムは次の制約を満たさなければならない。
フーリエ変換(積分)は次のようになる。
しかし、この式を変換に使うことはほとんどない。実際にはフーリエ変換表を使って信号やシステムのフーリエ変換を見つける。次の逆フーリエ変換は周波数領域から時間領域への変換である。
変換可能な信号やシステムでは、フーリエ変換は一意である。つまり、時間信号と周波数信号には一対一の対応がある。
ラプラス変換はフーリエ変換を拡張したものである。jw で表される直線だけを扱うフーリエ変換と異なり、ラプラス変換では複素平面全体に変換するため、任意のシステムや信号を変換可能である。主な違いは、ラプラス変換にはその変換が妥当であるような収束領域が存在する点が挙げられる。すなわち、周波数領域の信号には複数の時間領域の信号が対応する可能性があり、その変換で正しい時間信号は収束領域によって決定される。収束領域に jw 軸が含まれる場合、その部分はラプラス変換と同じになる。ラプラス変換は次のように表される。
また、逆ラプラス変換は次のように表される。
ボーデ図は、システムの周波数毎の信号の強さや周波数毎の位相をプロットした図である。強さはデシベル (dB) で表す。位相は度またはラジアンで表す。周波数軸は対数目盛である。あるシステムに正弦波を入力した場合、ボーデ図からその周波数の出力信号の強さと位相のずれがわかるため、便利である。
時間領域は多くの人が理解しやすい領域である。時間領域で信号を図示すると、ある時点での信号の強さ(振幅)がわかる。
周波数領域は技術者が慣れ親しんでいる領域である。多くの人にはなじみがないが、アナログ信号処理では時間領域よりも解析が容易である。周波数領域で信号を図示する場合、前述のボーデ図のように周波数を横軸として強さや位相を縦軸にする。時間領域の信号をフーリエ変換することでそのような図が得られる。