界:植物界 ⇒Plantae
門:被子植物門 ⇒Magnoliophyta
綱:双子葉植物綱 ⇒Magnoliopsida
目:ケシ目 ⇒Papaverales
科:ケシ科 ⇒Papaveraceae
属:ケシ属 ⇒Papaver
種:アツミゲシ P. setigerum
学名
Papaver setigerum
⇒DC. (1815)
和名
アツミゲシ
英名
⇒Wild poppy
アツミゲシ(渥美罌粟、学名:Papaver setigerum)は、ケシ科ケシ属の一年生植物(越年草)。
和名は、1964年に愛知県渥美半島の沿岸部において日本への帰化が発見されたことに由来する。
日本ではあへん法で栽培が原則禁止されている種に指定されている。なお保健所や警察においては学名の種小名に由来するセティゲルム種で呼ばれることが多い。
目次
1 分布
2 形態
3 亜種
4 日本に侵入した経緯
5 生態系に与える影響
6 人間との関係
7 栽培しないようにするには
8 外部リンク
9 脚注
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帰化植物として知られ世界各地に帰化しているが、南欧や東欧、北アフリカといった地中海沿岸域が原産地である。現在も原産地には多数の野生株が自生している。
高さ 60-80cm 程度で、ソムニフェルム種(ケシ)よりずっと小型である。茎は直立、よく分枝し茎の上部に長さ 3mm ほどの肉質の剛毛がある。葉は緑灰色、狭心形で、大きな欠刻があって縁は鈍鋸歯となり、欠刻の先端には茎にあるのと同様の剛毛があり無柄で基部は耳状に茎を抱き、互生する。
ソムニフェルム種と同様、春から夏にかけて茎の先端に直径 6cm ほどの4弁花をつける。花はソムニフェルム種より小型で円形に近く、ケシ特有のなんともいえないひどい臭いがする。花弁は白から赤を経て濃い紫色まで。しばしば大きな斑紋がある。日本で発見されるものは白い花冠の下部に淡いピンク色の斑点をもつものが多い。萼はソムニフェルム種と同様に早落性で開花時にはない。開花前の蕾は始めは下を向き、次第に立ち上がって開花時には直立するが、ソムニフェルム種と異なり蕾には剛毛が密生する。
果実の形態は長球形で先端に5?9本の放射線のある柱頭が残り、ソムニフェルム種と基本的に類似するが直径 1.5cm 程度で、ソムニフェルム種よりはるかに小型である。種子は黒色でこれもソムニフェルム種より小さく、熟した孔さく果の上部の小孔から飛び出す。散布された種は秋に発芽してロゼットを形成し、春に茎を伸ばす。
本種はモルヒネを含有するなど、同じ特徴を持つことから、有史以前から栽培植物化しており、野生種が見当たらないソムニフェルム種の原種ではないか、と一時期考えられたことがあったが、染色体を調査した結果明らかに異なることがわかり、現在この考えは否定されている。
ただし、現在でもソムニフェルム種の亜種として扱われている場合がある。その場合学名は Papaver somniferum L. Corb. subsp. setigerum (DC.) Corb と表記される。
なお英名は Wild poppy となっているが、英語圏各国に自然分布していないこともあり、この呼称が本種を指す意味で用いられることはほとんどなく、もっぱら学名がそのまま用いられる。またイギリスで Wild poppy といえば通常はイギリスでは在来種の野生のヒナゲシを指す。
アツミゲシが最初に発見された1964年当時は、愛知県警のみならず自衛隊まで出動する騒ぎとなり、火炎放射器や重機を繰り出して駆除に及んだ。その後際限なく駆除が繰り返されてきたが、未だ根絶されていないどころか、現在全国各地に事実上定着している。
本種の根絶が難しいのには本種の繁殖力の強さにも一因があるが、1964年の発見以降に原産国や同様に帰化した国から輸入された肥料など[1]に種子が紛れ込んでおり、それらが日本で発芽する、という、侵入パターンを何度も繰り返している由縁もある[2]。ゆえに気が付いたら道端や放置された草むらなど、その辺に勝手に生えている[3]のが現状で、その都度警察や保健所が出動する騒ぎが繰り返されている。
しかし、ケシ粒のような、という比喩表現からもわかるように、本種を含めたケシ科植物の種子は非常に小さいため、現実的な水際での防止策が取れず、ゆえに開花に至って抜取焼却といった現状の駆除法にならざるをえない一面がある。
本種は他の多くの帰化植物と同じく都市の空き地、廃屋、路肩、人手で整備された河川敷や農地など、ある程度人間により生態系がかく乱がなされた場所に侵入する。