もつとは、鳥獣肉の臓物(内臓)のこと。広義には臓物全般を指し、この場合肝臓や心臓などを「赤もつ」、胃や腸などを「白もつ」と言う。ただしハツ・レバーなど特に名前が付けられている部位はもつと呼ばれることは少なく、狭義には腸(大腸、小腸)を「もつ」と呼ぶ。
また、ホルモンとも呼ばれる。語源についてはホルモン焼きの項目を参照。
食肉の歴史が古いヨーロッパなどでは比較的一般的であるが、日本においては、食肉の文化が限定的で、またホルモンは精肉より劣化が早く、独特の外見や匂いがあることなどから消費者の好みが分かれるものであり、一般の人々が口にしたり店頭で見かける機会は少なかった。しかし安価な食材であることから大衆居酒屋のメニューとしてはよく用いられ、各地に特徴のあるもつ料理が存在する。 一方、長野県佐久市には江戸初期に鶏臓物料理に関する貴重な文献が現存している。慶安元年1648年には信州佐久郡岩村田の割元職の篠澤佐五右衛門が小諸城主青山因幡守に本膳料理等を献上し、その中に「ももげ」の記載がある。広辞苑によれば、ももげとは鶏の臓物である。 この記録から推測すると杉の板にももげ、くわい、生貝、赤貝、鯛を乗せ板ごと焼いている。篠澤氏は当時から現在まで連綿と飲食、宿泊業を営んでいるが、先代女将篠澤ツギさん(故人)の話によると、明治、大正頃までは篠澤家では日本海から木樽に氷室の氷を詰め鮮魚を佐久まで荷車で運搬して調理していたという。真夏でも海の生魚が佐久まで入ったというから、ももげに使った鯛や赤貝なども新鮮なものだったと思われる。いずれにせよ、江戸時代のはじめ頃には、すでに殿様が鶏の臓物を食していたことになる。この文献は子孫の篠澤明剛が所有しているが、現在は佐久市立望月歴史民族資料館にて一般公開されている。
一時期はもつ料理・もつ鍋がブームとなったが、2000年代はじめにBSE問題が発生して以降、(特に牛もつ系について)急速にブームはしぼんだ状態となっている。
平成年間において、鳥もつとして販売されているのは、普通は肝臓と心臓を組み合わせたものである。
もつの分類
舌 : 「タン」「ツンゲ」
心臓 : 「ハツ」、「ハート」、「ココロ」、「ヘルツ」
動脈 : 「コリコリ(心臓付近の動脈)」、「タケノコ」
気管 : 「ウルテ」、「フエガラミ」
肺臓 : 「フワ」、「フク」、「プップギ」、「バサ」、「ホッペ」
肝臓 : 「レバー」、「キモ」
胃 : 「ミノ(牛の第一胃)」、「ハチノス(牛の第二胃)」、「センマイ(牛の第三胃)」、「ギアラ(牛の第四胃、赤センマイとも)」、「ヤン(ハチノスとセンマイの繋ぎ目)」「ガツ(豚の胃)」、「砂肝(鶏の胃の一部)」
脾臓 : 「タチギモ」、「チレ」
膵臓 : 「シビレ(牛の胸腺を含む)」
腎臓 : 「マメ」
乳房 : 「チチカブ」、「オッパイ」
横隔膜 : 「ハラミ(背中側の薄い部分)」、「サガリ 肋骨側の厚い部分)」
小腸 : 「コプチャン(小腸)」、「コテッチャン」、「シロ」、「ヒモ」、「丸腸(小腸の一種)」、「ホソ」
大腸 : 「テッチャン(大腸)」、「ホルモン(一般的には大腸をホルモンと呼ぶ)」、「シマチョウ」
直腸 : 「テッポウ」
子宮 : 「コブクロ」
卵巣 : 「キンカン(鶏の腹卵)」
精巣 : 「ホーデン」、「タマ」
卵管 : 「タマヒモ(鶏の卵管と腹卵)」
もつを用いた料理
もつ煮込み : 豚もつ(もしくは牛もつ)を野菜やこんにゃくと共に味噌味または醤油味で煮込んだもの。関東地方の居酒屋では単に「煮込み」で通用する。関西ではほとんど見られない。
おたぐり : 馬の腸を煮込んだ長野の郷土料理。
玉ひも : 鶏の卵管と未成熟な卵巣を煮込んだもの。関西地方の居酒屋でよく見かける。
どて煮 : 豚もつを濃い味噌だれで煮込んだ料理。名古屋名物。
中身汁 : 豚もつを用いた吸い物。琉球料理のひとつで、かつては手間がかかるために主に祝いの席などで供されるご馳走とされていた。近年では保存技術の発達により、日常的に食されている。
関連項目
もつ鍋
ホルモン焼き
あぶらかす
焼肉
食材の一覧
カテゴリ: 食用内臓
更新日時:2008年6月30日(月)20:00
取得日時:2008/07/21 12:30