【ひぐらし】雛見沢に ..
440:名無しさん@お腹いっぱい。
10/05/08 16:49:43 4L1EL0ZL
初見です。一気に読んじゃいました。
とても良かったです。
続きに期待しながらずっと待ってますよ〜。
441:雛見沢住人 ◆xAulOWU2Ek
10/05/10 23:12:57 8F6F4szm
kakunin
442:雛見沢住人 ◆xAulOWU2Ek
10/05/10 23:14:09 8F6F4szm
シャーリーの案内の元、ナナリーのいる場所へと向かうと、意外にもそこはゴミ山のすぐ近くだった。
サクラダイト発掘のために建てられた廃墟の中で、ナナリーは特に拘束されているというわけではなかった。
例え目が見えなくとも、逃げようと思えば易々と逃げられる。そんな状況下でナナリーはいつもの車椅子に座り、まるで待ち合わせ場所で誰かを待っている風貌だった。
その様子を見て取り、本当にシャーリーはナナリーに危害を加える気がなかったんだなと今更ながらに思う。
ナナリーと二三、言葉を交わした後、共に廃墟から出る。
それからシャーリーと向かい合い、俺は彼女と別れの言葉を交わす。
「じゃあね、ルル」
「ああ、シャーリー……元気でな」
どちらからというわけでもなく、握手を交す。
「ルルこそ元気で……。そして、もう道を誤らないで」
「ああ、約束する……。俺はもう間違わない」
手段より追及すべきは結果。そう信じて今まで俺は歩み続けてきた。
けれどふと後ろを振り返ると、そこにはたくさんの屍が横たわっていて。その命を無駄にしないためという大義名分を掲げ、さらに多くの命を犠牲にしてきた。
だが俺は今日、その果てに至る未来をシャーリーに気づかされた。
至るのは破滅。結果を追い求めすぎ、そのせいで大事なものを自ら壊してしまうというもの。
それはただの想像なのに酷く生々しい光景で、俺はその現実感に寒気を起こす。
「スザクが言っていた。間違った方法で得た結果に意味なんてない。今ならそれが分かる」
「うん……そうだね。それに気づけたルルならきっと……」
唐突にシャーリーが握手を交わすその手を手前に引いた。それにつられ、身体が前に引っ張られる。
シャーリーはバランスを崩しかけた俺の身体を抱き寄せるかのように支えた。
「さようなら、ルル。またいつか」
「ああ、またいつか」
シャーリーはすっと身を翻し、未だ抱擁の余韻も消えないうちにその場を後にする。
もう彼女は僅かにも振り返ることはしなかった。
彼女の後姿―風に靡いた燈色の髪が夕焼けに交じり見えなくなった頃、唐突にナナリーがくすりと微笑んだ。
「お兄様、良かったですね。シャーリーさんと仲直りできたみたいで」
ナナリーのその言葉が引き金となってまた少し涙腺が緩む。
少し間が空き、不思議がるナナリーに俺は微笑交じりに言葉を返した。
「ああ、そうだな……。本当に長い刻を彼女と仲違いしていた気がする。でも、だからこそ――」
俺はもう二度と彼女を裏切る真似はしないと誓おう。
443:雛見沢住人 ◆xAulOWU2Ek
10/05/10 23:16:32 8F6F4szm
【16】
Turn of Hinamizawa Village ― Rika side
「―以上、これが僕の話したいことのすべてなのです。ぺこり」
防災倉庫のリビングにて短くない時間を費やし、ようやく魅音やスザクに私が置かれている状況を説明することができた。
一呼吸置いて周りを見回すと、皆呆然として押し黙っているのが見える。
魅音、レナ、沙都子、スザク……。やはりこんな荒唐無稽な話、簡単に信じてくれはしないか。
「信じられないのは分かりますです。でもこれは事実なのです」
……だが、こればかりは時間をかけてでも信じてもらわなくてはならない。何故なら、これから起こる事件が私だけの命を奪うものではないと、もう私は知ってしまったのだから。
「それで、おじさんたちはどうすればいいのかな?」
説明を終えてから、魅音が初めて口を開く。彼女に倣って沙都子も言葉を発すした。
「私たちに一体何が出来るというんですの?」
その言い方には僅かに私を責めるような強さがあった。
二人は怒っているのだろうか?
何に対して? もしかして私がいるせいで大量虐殺が引き起こされるから?
私が死ぬとそれに巻き込まれると知ったから?
二人にそんな目で見られているかと思うと居た堪らなくなった。私は自然と謝罪の言葉を口にしていた。
「ごめんなさい……」
「それは何に対してのごめんなのかな、かな」
レナだけはこの空気を理解して私を責めないでくれると思っていた。けれど彼女もまた二人と同じく私をきつく見据えて詰問してくる。
仲間が周りにたくさんいるはずなのに、私は何故か孤独感を感じてしまっていた。
「それは……皆を巻き込んでしまったからなのです。そして僕が死んでしまった時、皆も犠牲になるからです」
俯き加減にレナの問いに答える私。口に出して酷く悲しい気持ちになる。
皆の罵りの言葉が聞こえてくるような気がして再び謝った。
「本当にごめんなさい。でも僕が頼れるのは皆しかいないのです……」
首を横に振るレナ。それは拒絶?
「梨花ちゃんは謝るべきだと思う」
もう謝っているのに、これ以上何を謝罪しろと言うのか……。レナが分からない。
レナの言葉を引き継ぎ、スザクが言った。
「梨花ちゃん。僕は皆とは初対面ではあるけど、皆が君の何に怒り、何に謝罪を求めてるかが分かるよ」
「それは一体何なのです……?」
「どうしてもっと早くに相談してくれなかったの? 僕には魅音たちがそう言っているように見えるよ」
「え……」
非難されても仕方がないと思っていた所に意外な答えが返ってきて、思わず唖然としてしまう。
そんな私にレナが真顔で語りかけた。
「梨花ちゃんの相談がもっと早ければ、奴らに比べたら限りなく無力に近いこんな私たちでも、今より多くの事が出来たかもしれない。逆に相談がもっと遅くなっていたなら、最悪、何もできずに私たちはただ梨花ちゃんを失っていた。理解できるよね?」
「はいです……。僕は皆の気持ちを全然考えてなかった。本当にごめんなさいなのです……」
私は自分の事を信じてもらおうと考えて、そのくせ仲間を信じることが出来ずにいた。その私の心を責められていたのだと気づく。
「分かってくれたならいいよ。幸いまだ時間がないわけじゃないし、それに……」
そこで場の空気を仕切り直すかのように魅音が手を叩いた。
「はいはい、そこまでにしようか。まだ梨花ちゃんに最初に訊ねたことの答えを聞いてないからね」
「最初に訊ねたこと……?」
「ええ! 梨花が私たちに何をどうして欲しいかってことですわ!」
沙都子が先ほどまでの責めるような表情を一変させて、いつもの太陽のような笑顔を向けてくる。
彼女だけじゃない。見回すと他の皆も笑顔で私の答えを待っていてくれた。
「皆……。僕を、いえ私を……助けてください!」
「「当然!!」」
皆は口をそろえてその想いに答えてくれたのだった。
444:雛見沢住人 ◆xAulOWU2Ek
10/05/10 23:20:15 8F6F4szm
>>440
いらっしゃいませ。楽しんでいただけたなら幸いです。
最近(前から?)、ハンターハンターの富樫のようなゆったりペースですが、
なんとか完結まではこぎつけたいと思っています。
しかし後何カ月かかるかなあ……
445:名無しさん@お腹いっぱい。
10/05/11 04:08:38 ouLYDA4k
待ってましたっ!
ほんとシャーリーにはやられた…
と思ってたら部活メンバー+スザクもやっぱ熱い…
ぐぁー、いいなぁ、たのしいわ〜
読み返したりしながらまたしばらく待つとしますー
446:名無しさん@お腹いっぱい。
10/05/21 22:56:45 o2F0NimT
待つー
447:名無しさん@お腹いっぱい。
10/05/23 01:16:13 u+iWxc0E
一気に読んでしまったわ。
月刊か季刊かは知らないが、俺は次を待ち続ける。
448:名無しさん@お腹いっぱい。
10/06/03 01:41:44 UWetOTyn
楽しみにしてます
449:名無しさん@お腹いっぱい。
10/06/04 10:11:37 s6fETXB2
規制に負けずに続けてくれ!
大丈夫 おれたちゃ待つのは慣れてる
450:名無しさん@お腹いっぱい。
10/06/04 20:48:28 vHgCZ1/b
規制あけたぞー
451:雛見沢住人 ◆xAulOWU2Ek
10/06/06 10:44:12 757u+4/6
お前らお待たせなんだぜ
規制に引っかかっていたせいじゃないが遅れてすまん
今から投下する
452:雛見沢住人 ◆xAulOWU2Ek
10/06/06 11:09:50 757u+4/6
Turn of Hinamizawa Village ― Lelouch side
ナナリーを家に送り届け、咲世子に適当な話をでっち上げて宥めた後、俺はまっすぐと梨花の家に戻った。
梨花へ問題は解決したもとい、そもそも事件自体なかったことを告げ、防災倉庫の階段を昇る。皆への打ち明けは済んだようで梨花は満面の笑顔で俺を迎え入れてくれた。
だが二階の居間に入ると、俺がいなかった間に何かあったようで少々疎外感を覚える。
まあいいか……。一人呟くように言ってすぐに頭を切り替える。
「それで? お前ら、事情を知った所で何か考えはないか?」
「考えって言われてもねー。逆に聞くけどルルの方はどうなのさ?」
緊迫した空気が辺りを包む中、魅音がいつもの様子で横柄に言う。空気が読めないのか、それとも場馴れしているのか、どちらにしろこの状況下では彼女の存在は心強かった。
「そうだな、俺は梨花を殺そうと思う」
「「な、なんだってー?!」」
俺の発言に対し、皆が一様に驚きの声を上げる。さながらMMRの登場人物たちのようだと言ったらお分かりになるだろうか。
このまま勿体ぶるのも一興だが、今はそんな場合ではないので続けて説明に移ることにする。
「綿流しの祭りまでの時間は少なく見積もっても優に48時間以上ある。今なら緊急マニュアルを逆に利用できるんだ」
「緊急マニュアルを逆に利用? あ、そっか! レナは分かったんだよ!」
まずレナが最初に俺の考えに気が付く。当然だろう。普段は隠しているが、彼女が部活メンバーの中でも群を抜いて勘が鋭いことを俺は知っている。こういうのを日本のことわざで能ある鷹は爪を隠すというんだろうな。
「え? え? どういうことですの? ルルーシュさんの言う事はいつも肝心の部分の説明が足りませんわ!」
「右に同じ。ルルみたいな優等生タイプってやつはそういうトコ、相手が分かってるのを前提で話を進めるから厄介この上ないよね」
沙都子が首を捻るその脇で魅音もまた同様の仕草をする。
「あのね、沙都子ちゃん。つまりこういう事なんだよ」
レナが耳打ちしてようやく得心がいったのか沙都子が手をぽんと叩いた。
「ああっ、まさかそんな手があったとは! まさに最高に優雅なトラッププランじゃありませんの!」
「な、何?! 沙都子どういうこと?!」
「おーっほっほっほ、これには魅音さんも驚くと思いましてよ〜!」
今度は沙都子が魅音に耳打ちし、次は魅音からスザクへ。
傍観していた梨花だけが酷く困惑した様子で置いてけぼりとなっていた。
「みぃ、僕だけ仲間はずれなのです……」
「安心しろ、今説明してやるから。梨花以外はもう分かっているとは思うが、一応確認のために一緒に聞いてくれ」
皆に作戦内容とその段取りを伝え、それを元に俺たちはついに行動を開始する。
――最悪の結末を回避するために、大切な人たちを守るために……。
「さあ、反撃を始めよう」
―タイムリミット;オヤシロさまの祟りまで後2日。
453:雛見沢住人 ◆xAulOWU2Ek
10/06/06 11:10:41 757u+4/6
Turn of Hinamizawa Village ― Takano side
診療所の休憩室の一角で、紅茶の香りを愛でながら私は一日の仕事の疲れを癒していた。
今まで長い時間この職場で働いていた気がする。しかしそれも今日明日と従事してしまえばそれで終わりとなる。
思えば、ブリタニアの侵攻によってトウキョウが解体された時こそが私の運が尽き始めた頃だった。
雛見沢症候群の研究資金の供給ルートが断たれ、素性もよく知りもしない人間から援助を受けた。
私の方針など耳を貸さないそいつらの顔色を窺って研究を続けている現状……。
私は明日、最愛の人を殺すことになるだろう。
そして、この雛見沢に住む何の罪もない二千人余りの人たちを私の自己満足に巻き込むだろう。
だが立ち止まることは許されない。亡き祖父の遺志を継ぐと決めたあの日から私の心は変わらない。
「……。…………ん」
ふと覗き込んだティーカップの紅茶の液面に、ルルーシュ・ランぺルージの顔が映り込んだ気がした。
何故彼の顔が浮かんだのかぎょっとするが、その刹那に私は悟る。
ああ、彼は私に似ているのだ。いや、その言い方は多分誤り。正しくは”似ているような気がする”だろう。
冷徹で個人主義……。手段より結果を尊び、結果を出すためならいかなる犠牲も厭わない。そんな気がする。
もしあの少年が私の立場に居たなら、彼に同じ選択が取れるだろうか?
……その疑問に特に意味はない。ただ少し頭を掠めただけだ。
だがその答えとは関係なく、明日彼は何かしら行動を起こすだろう。
私の計画が漏れているはずはない。……が、雛見沢症候群の存在に気付いた彼なら何かを掴んでいると見ていいだろう。
「だけど、それでも――」
私は私の未来を一歩も譲りはしない。
勝つのは私かそれとも彼か。否、最後に笑うのは他ならぬこの私だッッッ……!
強い意志は運命を強固にする。揺るがない信じる心こそが運命を切り開く鍵となる。
私の決意は地球という一つの惑星よりも遥かに重い。故に何者にも決して負けはしないし負けるはずもない。
すっと席を立ち、いつの間にか傍らで待機している小此木に飲みかけの紅茶を手渡して私は休憩室を後にする。
「さあ、祭りの準備を始めましょう?」
―タイムリミット;オヤシロさまの祟りまで後1日。
454:名無しさん@お腹いっぱい。
10/06/06 18:08:19 YHhYuKVJ
おつおつ!
いよいよ決戦なのか!? はじまるのか!?
455:名無しさん@お腹いっぱい。
10/06/17 01:38:41 5gaLeQcW
待ちまふ。
456:名無しさん@お腹いっぱい。
10/07/05 01:28:08 /V8CoFmW
悪玉
457:名無しさん@お腹いっぱい。
10/07/05 15:45:54 qpeC6KvI
初レスです
応援してます
続きが楽しみだぁ〜
458:名無しさん@お腹いっぱい。
10/07/18 14:29:55 J2PRbEU0
ネタ切れ
459:ももも
10/07/21 23:38:20 sHrJbsPS
まだ〜 まさか・・終わりじゃないよな
460:名無しさん@お腹いっぱい。
10/07/22 22:54:15 uyStlswA
それでも待つんだなこれが。
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