【ひぐらし】雛見沢に ..
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45:雛見沢住人 ◆xAulOWU2Ek
09/01/23 11:43:00 3uoEt4HW

 廊下に出ると沙都子とばったりと出くわした。沙都子は空き部屋の惨状を見て、悲鳴に近い声を上げた。
「あーっ、やっぱり! どうして許可なく私のトラップを勝手に使いますのー?!」
「ああ、すまない。ちょっと借りた」
「むがーっ、よくもぬけぬけとぉ! 許しませんでしてよルルーシュさん! これでも食らいあそばせ!」
 沙都子が天井から下がっているワイアーを引き抜くと、彼女を避けて前方からペットボトルロケットが数発発射される。
「ぬるい! そんな直情的なトラップで!」
 一時後退し、魅音の倒れている空き部屋に避難する。
 本来ならここで、空き部屋にあるトラップを使ってターゲットを追い詰めるのだろうが、すでにその場にあるトラップは俺の使用済み。攻撃能力は完全に消失しており、危険は蚊ほどもない。
「くぅ、ちょこまかとぉ」
 俺は空き部屋から顔を出し、苦虫を噛み潰したような顔をした沙都子に言ってやる。
「お前に一つ教えてやろう」
「な、なんですの……?」
「沙都子。トラップのないお前など、ただの似非お嬢に過ぎないんだよ」
「ル、ルルーシュさんの馬鹿ぁ! 似非じゃないもん似非じゃないもん! わぁぁぁん!」
 沙都子は痛い所を疲れたらしく、声を出して泣き始めた。
 勝った!
 俺は戦意を喪失した沙都子の脇を通って玄関に向かう。少し可哀相だと思ったが、自分のプライドの方が大事だ。悪いな、沙都子。
 玄関には梨花が待ち受けていた。想定していただけに動揺はない。
「ふん、次はお前か」
「なのですよ。そしてルルーシュ、学校から脱出するには靴が必要というその行儀の良さが貴方の命取りとなるのですよ、にぱにぱ」
「ふっ、果たしてそうかな。魅音と沙都子はもう葬った。お前一人に何が出来る?」
「一人じゃないのですよ。レナ?」
 梨花の視線の先にレナを発見する。
「そうか、レナがいたか」
「は、はぅぅ……」
 レナは下駄箱の影に半身を隠して俺を窺っている。
「レナも俺を捕まえようとしているのか?」
 ふるふるとレナは顔を横に振った。なるほど、レナは敵ではないようだ。
「梨花ちゃん、もう許して上げようよ。たしかに罰ゲームが決まってから逃げるのは褒められたことじゃないけど、いかさまジジ抜きを使った私たちも悪いよ。ね?」
「みぃ。それは本心なのですか?」
「え?」
 レナがきょとんとする。
「本当にレナはルルーシュの花嫁さん姿を見たくはないのですか?」
「は、はぅ……」
 まずい、なにやら雲行きが怪しくなってきた気が……。
「はぅ……お嫁さん……いいよぅ本当いいよぅ、はぅぅ……」
「よせレナ! 梨花の怪しげな言葉に惑わされるな!」
「みぃ、怪しげとは失礼なのです。さあレナ、早くルルーシュを捕まえるのです」
「う、うん……。でもルルーシュくんにも人権があるし……うーん」
 助かった。まだ今のレナにも僅かに理性というものが存在しているようだ。
「そうだレナ、いいぞ。自分がされて嫌なことは人にやってはいけない、それは分かるな?」
 レナは俺の言葉を聞き、ハッと我に返った。
「はぅ、もちろんなんだよ!」
「それでいい。偉いぞレナ」
 説得に成功し、俺は胸を撫で下ろした。
「ボクの完璧なレナ繰りがやぶれるなんて、くそーなのです……」
 ついに梨花も負けを認めて床に崩れ去った。
 ふっ、詰めが甘いな。梨花を見下ろし、ほくそ笑む。
 魅音、沙都子に続き、梨花も無力化した。これでもはや俺に立ちふさがる敵勢力はいない。安心してナナリーを迎えにいけるというものだ。
「レナ、ナナリーを連れて一緒に帰ろう」
「え、魅ぃちゃんたちはどうするの?」
「ほうっておけばいいさ。勝手に立ち直って帰宅するだろ」
「そういえばそうだね! ほうっておこ!」
 自分から言い出しておいて『なかなかレナも酷いやつだな』と勝手なことを思う俺だった。



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