【ひぐらし】雛見沢に ..
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34:名無しさん@お腹いっぱい。
09/01/15 21:09:55 3QtfBs6g
>>33
2ch的というか自分の願望だけど両方投下して欲しい。
ま、一番は作者が決める事だとおも



35:名無しさん@お腹いっぱい。
09/01/17 13:09:05 16Huh+zX
>>33
遅レスながら、自分はハッピーエンド希望。

36:雛見沢住人 ◆xAulOWU2Ek
09/01/17 18:39:51 BtBSnDrq
>>34>>35
放置ですまんかった。レス感謝。
両方投下はクオリティが心配なので止めておくよ。
とりあえずはハッピーエンドで考えとくことにする。この先どうなるかは分からんが。



37:雛見沢住人 ◆xAulOWU2Ek
09/01/17 19:16:17 BtBSnDrq

 魅音がロッカーからトランプを取り出して戻ってきた。
「さて始めるよ。最初に言っておくけど、いい加減なプレイなんかしたら許さないんだからね?」
「愚問だな。当然やるからには必ず勝つ」
「おお、威勢が良いねぇ。でも果たして最後まで持つかな?」
 魅音が簡単にジジ抜きのルール説明を始める。
 どうやらジジ抜きは、ゲーム名こそ違うが俺の知っているゲームと同じもののようだ。基本手順はオールドメイド(※こちらではババ抜きと呼ばれる。)と同じ。
 違うのはジョーカーが入っていない代わりに最初に無作為にカードを一枚取り除いておくこと。
 つまり、その対になるカードがジョーカー代わりとなるのだ。とりあえずルール面で不利にはなることはないだろう。
「まずは一枚抜かないとね」
 山札からカードを抜き取ろうとする魅音の手を沙都子が止める。
「その前に、魅音さん。大切なことをお忘れになってましてよ?」
「ん、なんだっけ?」
「みぃ、今日の罰ゲームをまだ決めてないのです」
「あ、そうか。おじさんとしたことがすっかり忘れてたよ。いや、失敬」
「待て、罰ゲームとは何だ」
「罰ゲームは罰ゲームなんだよ」
 不思議に思う俺にレナは当たり前のことを言う。いや、そうじゃなく。
 要領を得ない言葉を返したレナの代わりに沙都子と梨花が答えてくれた。
「罰ゲームというのは、これから行うジジ抜きの総合のスコアが一番低い人に与えられるものでしてよ。いつも前もって決めて置きますのよ」
「先に楽しみが決めておかないと決着がついたと時もめますし、楽しみも半減なのですよ」
「ふん、なるほどな」
 俺が納得したのを確認すると、魅音は罰ゲームの内容を発表した。
「じゃあ、今日の罰ゲームはビリが一つだけ勝者の命令を聞くこと。これでおーけい?」
 まるでギアス能力だなと内心苦笑。
「ああ、俺は別に構わないが。ナナリーはどうだ?」
「私もそれでいいと思います」
 ナナリーが罰ゲームの内容を了承し、残りの三人も異議はないようだ。
「よし。それじゃ気を取り直して一枚抜くよ」
 魅音が山札からカードを一枚抜き、裏返しのまま机の中央に置いたカードケースにしまった。皆はそのカードをじっと凝視している。
「フッ、そんなに見ても伏せたカードは透けて来ないだろう?」
 冗談で言ったつもりだったのだが、俺とナナリーを除く皆は真剣そのもので、カードの裏面を見るのを止めようとしなかった。
 まるで、そうすれば本当に伏せられたカードの中身が分かるような……。
「はは……まさか、な」
「どうかしましたか、お兄様?」
 ナナリーが不思議そうに首を傾げる。目の不自由なナナリーには眼前で繰り広げられている奇妙な情景が見えないのだ。
「いや、何でもないよ」
 そう言いながら、俺はぎこちない笑顔を浮かべる。
 よく見ると、このトランプはかなりの傷物。皆がその傷を見分けてカードを識別している可能性は決して少なくないだろうな。
「じゃあ最初はルルから。時計回りに引いてって」
「分かった。ナナリー、隣にレナがいるから一枚引いてくれないか」
 こうなったら仕方がない。自分が取れる最善を行うしかないな。
「はい、分かりました。えっと……」
 ナナリーが手探りでレナの手札からカードを引き抜く。
 これが俺たちの始めての部活。もしかしたら、ここが俺のターニングポイントだったのかもしれない。


38:雛見沢住人 ◆xAulOWU2Ek
09/01/17 19:18:01 BtBSnDrq

 案の定、魅音たちはカードを見分けていた。
 俺も少しずつカードを覚えていたのだが、最後まで魅音たちの暗記総量に追いつくことはなかった。結果、俺とナナリーはビリとなり、罰ゲームを受ける運びとなった。
 後もう少しカードを覚える暇があったなら、今まで覚えたカードからカード毎のジジである確率を割り出すことも可能だったのだが……。
「お兄様、負けてしまいましたね」
「そうだな、俺たちの負けだ。だがナナリーはよくやったさ」
 頭を撫でてやると、ナナリーは恥ずかしそうに俯き呟くように言った。
「お、お兄様。……皆さんが見ています……」
「ふっ。そうだったな、すまん」
 可愛いやつだ。ナナリーにはまだまだ俺がいてやらないと駄目だな。
「―それで、魅音。罰ゲームとやらはなんだ?」
 俺は足を組み、余裕を気取りながら勝者の魅音に聞いた。
「おお、殊勝だねルル。てっきり『こんな不公平な勝負は無効だ』と突っかかってくると思ったのに」
「ふん、勝負というものは元々公平なものなどではないからな。知力、経験、備え。いつでもこの三つを他より持っている人間が勝つ。
今回は俺たちの側に経験と備えが足りなかった、ただそれだけのこと。文句なんか何もないさ」
「ふーん、さすがルル。でもいくら殊勝でも罰ゲームは受けてもらうからね。勝者はおじさんだから、おじさんの命令を一個聞いてもらうよ?」
「いいだろう。受けよう、その罰ゲーム!」
「梨花、聞きました? 命知らずですわねー」
「なのですよー☆」
「さあ、それはどうかな?」
 余裕を保つ俺の傍らでレナが心配そうな顔をした。
「本当にいいの? 今回ぐらいは頼めば魅ぃちゃんも罰ゲームを免除してくれると思うよ?」
「心配は無用だ。こういうのには慣れているからな」 
 ふん、所詮は学校の部活。罰ゲームと言っても顔に落書きしたり、かばん持ちをさせられたり、その程度だろう。
 魅音程度が常日頃からミレイ会長に鍛えられた俺を苦しませることなどできるわけがないのが道理。
「じゃあはいこれ」
 魅音がロッカーをまさぐった後、振り返る。
 魅音の手には純白の薄い布。魅音はそれを俺に放り投げる。受け取るとふわりと軽かった。
「ん……なんだこれは?」
「何って、分かんない? ウェディングドレス」
 なるほど、広げてみるとたしかにそれだ。
「ふむ。それでこれをどうするつもりだ魅音?」
「何カマトトぶってるの。着るんだよ」
「……ああ、なるほど。ナナリーが」
「いや、そろそろ現実を見ようよ。ルルが着るんだよ」
「……ふむ」
 数秒思案した結果、俺は教室を飛び出して脱兎の如く逃走を開始した。
「あっルルーシュさんが逃げましたわ!」
「な、何ぃ?! 追えーっ、絶対に逃がすな捕まえろー!!」
 俺が抜け出た教室では魅音が何やらわめき散らしているようだが、知ったことか。


39:名無しさん@お腹いっぱい。
09/01/17 20:25:37 16Huh+zX
投下乙!
ルルーシュの体力だと逃げ切れそうにもないなw

40:名無しさん@お腹いっぱい。
09/01/17 23:34:05 dGWGjCwr
GJ!投下乙!
でも最後が切れてるのはワザと?

41:雛見沢住人 ◆xAulOWU2Ek
09/01/18 00:34:30 PYBeC/bj
>>30
ルルーシュは圭一より体力ないんだろうなと思う。
俺の中だと完全にヘタレですw

>>40
「知ったことか」の前の読点だったらフィーリングで打ったからさして意味はない。
つか、正直読点の遣い方をよく知らないんだw

コメサンクス。
次は投下分の半分ほど書けたら投下するよ。

42:名無しさん@お腹いっぱい。
09/01/18 11:44:36 nINVZlb+
>>41
読点じゃなくてレスの最期だよ

43:名無しさん@お腹いっぱい。
09/01/22 23:53:41 /q9N182J
>>41
ごめん
専ブラのせいだった

44:雛見沢住人 ◆xAulOWU2Ek
09/01/23 11:41:49 3uoEt4HW

「……やってられるか」
 あんなおぞましい物を俺に着せようなんて、魅音の冗談も大概にしろと言いたい。そもそもこんな山奥の廃村で、何故ウェディングドレスなどこうも気軽に出てくる? ありえん。
 いや、今回は完全に俺の誤算だ。あんな衣装が出てきたのも、魅音にああいうコスチュームプレイの趣味があったこともすべて。だがミレイ会長と並ぶ異常性癖の持ち主が、まさか同じ時代にこの世に生を受けているとはいくら神でも思わないだろう。
 何にせよ、あんなものを着せられたら俺が終わる。今まで俺が築き上げてきた地位が足元から瓦解する! なんとしても今日を逃げ切らねば……。
「ヘイ、少年」
「おわっ! み、魅音?!」
 いつの間にか魅音に追いついつかれていたようだ。俺は彼女と並走する形で廊下を走る。
「息荒いけどどったの? まさかこれが全力疾走なわけ?」
「……う、うるさい!」
 くそっ、こいつの身体能力はスザク級か!
 魅音は喋りながら走っているというのに息一つ乱してはいない。それに比べて俺の限界は近い。もって後5分……いや、自分に嘘はつけないな。後5秒だ……それまでに何か手を打たなければ。
 俺の横から半ば呆れるように魅音が言った。
「まったく、都会のもやしっ子はこれだからなぁ。ほらほら、もう捕まえちゃうよぉ?」
「そうは、させるか!」
 俺は急に方向転換し、脇の空き部屋に逃げ込む。もはやあの手しかない。
 一方魅音は入り口付近で立ち止まると、そこで不敵な笑いを浮かべた。
 それはなぜか。この部屋には出入口が一つしかなく、加えて人の通れるほどの窓がただ一つもないからだ。俺は実質、袋の鼠になったわけである。
「くっくっく、追いかけっこはもうおしまい?」
「はぁ……はぁ………ふぅ……」
 魅音の動きに気をつけ、間合いを開けながら肩で息をする。その間魅音は襲いかかってくることはなかったが、それがやつの驕りだった。
「ふ、ははは」
 俺は呼吸を整え終えると魅音に笑い返す。
「あれ、もしかして追い詰められてどうにかなっちゃった?」
「ふん……。どうにもなっちゃいないさ」
 俺の余裕な様子に魅音は怪訝な顔をした。
「じゃあ、どうしてなのさ」
 さすがは魅音、俺の態度から何かを感じ取ったようだ。瞳に警戒心がありありと映っている。
 だがそれも無駄なことだ。
「そうだな、お前には俺が何故笑っているのか教えてやろう。……身をもってな!」
 空き部屋の隅にあるワイヤーを思いっきり引き抜く。その瞬間部屋中に煙幕が充満し、魅音の周囲でカンシャク玉が爆発する。
「ふぇぇっ?! 何々?!」
 魅音は突然の事態にパニックを起こしている模様。
 続いて視界を遮られた魅音の頭上に金ダライ十連トラップが襲い掛かり、それと時を同じくして動揺した彼女の足首に足枷がなされる。
 突如現れた足枷が魅音に回避行動を許さず、全ての金ダライは彼女の頭に吸い寄せられるように直撃した。連続した金属音が辺りに鳴り響いた後、魅音はようやく気絶し、その場に倒れた。
「ふはは……。やれる、やれるじゃないか」 
 魅音を襲った一見ポルターガイストのような怪現象はトラップによるもの。だが使用者は沙都子じゃない、俺だ。
 無論、俺が沙都子の真似をしてトラップを作っても今の10%の効果も得られない。だが、沙都子のトラップをそのまま拝借すればこの通りだ。
 今俺は沙都子のトラップを利用し、彼女と同等もしくはそれ以上の戦果を出すことに成功したのだ。
 俺は倒れた魅音を横目で見ながら、軽い足取りでその脇を通って空き部屋を出た。


45:雛見沢住人 ◆xAulOWU2Ek
09/01/23 11:43:00 3uoEt4HW

 廊下に出ると沙都子とばったりと出くわした。沙都子は空き部屋の惨状を見て、悲鳴に近い声を上げた。
「あーっ、やっぱり! どうして許可なく私のトラップを勝手に使いますのー?!」
「ああ、すまない。ちょっと借りた」
「むがーっ、よくもぬけぬけとぉ! 許しませんでしてよルルーシュさん! これでも食らいあそばせ!」
 沙都子が天井から下がっているワイアーを引き抜くと、彼女を避けて前方からペットボトルロケットが数発発射される。
「ぬるい! そんな直情的なトラップで!」
 一時後退し、魅音の倒れている空き部屋に避難する。
 本来ならここで、空き部屋にあるトラップを使ってターゲットを追い詰めるのだろうが、すでにその場にあるトラップは俺の使用済み。攻撃能力は完全に消失しており、危険は蚊ほどもない。
「くぅ、ちょこまかとぉ」
 俺は空き部屋から顔を出し、苦虫を噛み潰したような顔をした沙都子に言ってやる。
「お前に一つ教えてやろう」
「な、なんですの……?」
「沙都子。トラップのないお前など、ただの似非お嬢に過ぎないんだよ」
「ル、ルルーシュさんの馬鹿ぁ! 似非じゃないもん似非じゃないもん! わぁぁぁん!」
 沙都子は痛い所を疲れたらしく、声を出して泣き始めた。
 勝った!
 俺は戦意を喪失した沙都子の脇を通って玄関に向かう。少し可哀相だと思ったが、自分のプライドの方が大事だ。悪いな、沙都子。
 玄関には梨花が待ち受けていた。想定していただけに動揺はない。
「ふん、次はお前か」
「なのですよ。そしてルルーシュ、学校から脱出するには靴が必要というその行儀の良さが貴方の命取りとなるのですよ、にぱにぱ」
「ふっ、果たしてそうかな。魅音と沙都子はもう葬った。お前一人に何が出来る?」
「一人じゃないのですよ。レナ?」
 梨花の視線の先にレナを発見する。
「そうか、レナがいたか」
「は、はぅぅ……」
 レナは下駄箱の影に半身を隠して俺を窺っている。
「レナも俺を捕まえようとしているのか?」
 ふるふるとレナは顔を横に振った。なるほど、レナは敵ではないようだ。
「梨花ちゃん、もう許して上げようよ。たしかに罰ゲームが決まってから逃げるのは褒められたことじゃないけど、いかさまジジ抜きを使った私たちも悪いよ。ね?」
「みぃ。それは本心なのですか?」
「え?」
 レナがきょとんとする。
「本当にレナはルルーシュの花嫁さん姿を見たくはないのですか?」
「は、はぅ……」
 まずい、なにやら雲行きが怪しくなってきた気が……。
「はぅ……お嫁さん……いいよぅ本当いいよぅ、はぅぅ……」
「よせレナ! 梨花の怪しげな言葉に惑わされるな!」
「みぃ、怪しげとは失礼なのです。さあレナ、早くルルーシュを捕まえるのです」
「う、うん……。でもルルーシュくんにも人権があるし……うーん」
 助かった。まだ今のレナにも僅かに理性というものが存在しているようだ。
「そうだレナ、いいぞ。自分がされて嫌なことは人にやってはいけない、それは分かるな?」
 レナは俺の言葉を聞き、ハッと我に返った。
「はぅ、もちろんなんだよ!」
「それでいい。偉いぞレナ」
 説得に成功し、俺は胸を撫で下ろした。
「ボクの完璧なレナ繰りがやぶれるなんて、くそーなのです……」
 ついに梨花も負けを認めて床に崩れ去った。
 ふっ、詰めが甘いな。梨花を見下ろし、ほくそ笑む。
 魅音、沙都子に続き、梨花も無力化した。これでもはや俺に立ちふさがる敵勢力はいない。安心してナナリーを迎えにいけるというものだ。
「レナ、ナナリーを連れて一緒に帰ろう」
「え、魅ぃちゃんたちはどうするの?」
「ほうっておけばいいさ。勝手に立ち直って帰宅するだろ」
「そういえばそうだね! ほうっておこ!」
 自分から言い出しておいて『なかなかレナも酷いやつだな』と勝手なことを思う俺だった。


46:名無しさん@お腹いっぱい。
09/01/23 16:37:16 mW84DeAQ
GJwww乙!

47:富竹 ◆gqRrL0OhYE
09/02/04 23:13:27 7irCypRg
どうも、乙です
私の、「ルルーシュが、雛見沢にスザクと飛ばされました。」が復活しました
見てくれたら助かります

48:名無しさん@お腹いっぱい。
09/02/04 23:43:46 R6geVyv/
>>45
GJ!一レスの文字数を減らすた方がいいと思う


49:雛見沢住人 ◆xAulOWU2Ek
09/02/06 19:10:44 6QgxNAe9
スマン、仕事とうみねこで忙しくてすっかり忘れてたwww
ま、あんまり見てくれている人がいないっぽいのが救いか…

>>48
これでも一レスの文字数減らしているんだがな…。
2ch使いづれぇ…OTL

うpはも少し待って。

50:名無しさん@お腹いっぱい。
09/02/06 23:20:38 PdzHvkUV
>>49
待ってるよ〜

51:名無しさん@お腹いっぱい。
09/02/06 23:23:54 PdzHvkUV
>>49
切るところは例えば≫45なら「玄関には梨花が待ち構えていた」ぐらいかな

連レススマソ

52:雛見沢住人 ◆xAulOWU2Ek
09/02/09 18:33:52 tIkntyLN
じゃあ出来る限り文字数減らして投下しますか。
仕事で更新遅くなるがスマン

53:雛見沢住人 ◆xAulOWU2Ek
09/02/09 18:39:35 tIkntyLN
【4】

 魅音らとの戦いが終わり、教室へと凱旋する。
 そこには一人置いてけぼりにされた可哀相なナナリーがいた。
「ナナリー。ごめんな、待たせた」
「あ、お兄様。私は平気ですけど、お兄様が逃げ出して皆さん怒ってましたよ?」
「そうだな。だいぶ手間取ったよ」
「魅音さんたちはどうしたのですか?」
「ああ、説得したらちゃんと聞き入れてくれて先に帰ったみたいだな。だから罰ゲームはなしだよ」
「え、本当ですか?」
「ああ、本当さ。嘘はつかないよ。ナナリー、お前だけには」
 そっと頭を撫でてやると、ナナリーは少しくすぐったそうに微笑を浮かべた。
「そうですか。でも私、本当は少し罰ゲームを受けてみたかったです」
「ふっ、馬鹿なことを言うな。しかし、お前の花嫁姿なら俺も見てみたい気もするがな」
「ふふ、私はお兄様のウェディングドレス姿のほうが見たいです。ああ、そういえばこんなのがありましたね」
「ん、なんだ?」
 ナナリーはさもおかしそうにクスクス笑いながら、自分の手帳に挟まった一枚の写真を取り出した。
 俺はその写真を見て動揺する。そこにはなんと俺の女装姿がはっきりと写っているではないか。
「ば、馬鹿な! なぜお前がそんなものを?!」
「ふふ、ミレイさんにもらったんです。目が見えるようになったらお兄様の女装姿を最初に見てあげなさいって」
「くそ、忌々しい会長め……まあいい。とにかくそれを俺に返してくれ」
「ふふ、駄目です。……あっ」
 ナナリーから問題の写真を強引に奪い取る。
「フッ、許せナナリー。この写真は存在することすら許されない下劣で低俗なものだ。破いて燃やしてしまわなければならないのだよ」
 ひょいと、今度は俺の手から写真が奪い去られる。
「な゛っ……!」
 振り返ると、眼を怪しく輝かせながら俺の写真を凝視するレナの姿があった……。


54:雛見沢住人 ◆xAulOWU2Ek
09/02/09 18:40:35 tIkntyLN

「はぅぅぅ……ルルーシュくん女装……お嫁さん……お持ち帰り……」
 レナから妙なオーラが噴出している。本格的にまずい状況である。俺は再び敵性勢力へと変貌しつつあるレナの説得を試みた。
「ま、待てレナ! 自分がされて嫌なことは人にやってはいけない、そうだろう?!」
「そうだね、その通りだよルルーシュくん」
「そうだろう、ならばその写真を俺に返却し、もう今日は帰路に着こうじゃないか! ああ、それが一番いい!」
 レナは分かってくれた。……そのはずなのに、レナは少しずつ俺に対して間合いを詰めながら写真を胸ポケットに大切そうに仕舞い込んだ。
 あああ、なんて恐ろしい捕食者の眼。
 食われる。俺は本気でそう思った。それでも矮小なる被食者である俺には説得を続けるほか手はなかった。
「れ、レナ……俺の言っていることが分かるだろう?」
 レナが間合いを詰めるのに合わせて後ろに後退する。
「うん、ルルーシュくんの言いたいことは分かるよ。でもね、ルルーシュくん。レナは思うんだ」
「な、にを……」
「自分がされて嫌なことは人にやってはいけないよね。でも、自分がされて嬉しいことは率先して人にやっていくべきなんだよ」
「は、はは、それは良い心がけだ。本当に素晴らしいな……いや、ちょっと待て! おそらくそれは違うっ、間違っているぞ竜宮レナ!」
 だがレナは待たない。
 間合いは完全に詰められ、後に下がろうにも背後にはもう黒板が迫っている。絶体絶命の大ピンチ。
 咄嗟に廊下に面した左側へと逃げる。ナナリーに構っている時間はない。俺は一人教室の出入口へと駆けた。
 だが出入口に到達することなく、俺の身体は床に倒れこんだ。
「あはははは。逃がさないんだよ、だよ」
「れ、レナ……一体何、を……」
 首筋に鋭い痛みが走る。
 そうか、俺はレナに攻撃されて……。
「レナはウェディングドレスを着て花嫁さんになりたいよ。だからね、今日はルルーシュくんに着せてあげるの。あはははは。お持ち帰りなんだよ、ルルーシュくん」
 そんなレナの言い分を聞きながら、俺の意識は闇へと転がり落ちていった……。

55:名無しさん@お腹いっぱい。
09/02/10 00:09:08 yT99ifrL
GJ!
ルルーシュwww

56:名無しさん@お腹いっぱい。
09/02/13 17:29:53 li2vqTKu
保守

57:富竹 ◆gqRrL0OhYE
09/02/15 10:28:20 sEZJjbW+
すいません、アドバイスお願いします
どうすれば、そんなに、文章うまくなるんでしょうか?
同じようなもの書いているのがいけないのでしょうか?

58:富竹 ◆gqRrL0OhYE
09/02/15 10:29:51 sEZJjbW+
一度見てもらえますか?
「ルルーシュが、雛見沢にスザクと飛ばされました」
です。宜しくお願いします


59:雛見沢住人 ◆xAulOWU2Ek
09/02/16 18:55:45 UPxmt0Ua
>>57
お褒めの言葉、ありがとう。
感謝しるしに批評まがいのレスを一つ。

自分がうまいとは思わないけど、それなりに書けるようになるにはやっぱり慣れが必要だと思う。
あのストーリーの進め方だが、全体的に急ぎすぎな気がしなくもないな。
2chとかだと人気なト書きだが、シリアス展開を書くには若干不向き。
それとルルーシュらしさを出すためには心理描写を多く取り入れるべきなのだが、ここでもト書きは相性悪いんだよな。
(ただ地の文(会話文以外)を取り入れると、読み手が読むのが面倒と感じる節があるので考えものだが。)
所々に、情景を会話文で説明しようとする傾向が見られるな。
会話文での情景描写は必要最低限でとどめたほうが良い。おそらく読み手は説明口調が目に付いているはずだ。
ト書きにおいて、会話文を説明口調にするぐらいなら情景描写は止めといたほうが良いと思う。
ついでに言うと、ここに直書きではなく一度メモ帳などに書き込んで誤字とかチェックするといいよ。
以上


多分次のうpはあさってぐらいに出来るかな……。





60:富竹 ◆gqRrL0OhYE
09/02/16 20:02:52 Y7J0OWxy
有難う御座いました!
今後の参考にさせていただきます・・・・と言っても
そろそろ終わりですけどね(TAT)
オマケで頑張ってみますよ


61:名無しさん@お腹いっぱい。
09/02/16 23:39:33 L9U8D2ed
>>59
半裸でまっとく

62:雛見沢住人 ◆xAulOWU2Ek
09/02/18 11:06:48 ET9QUkdk
「……ん、ここは……?」
 俺は意識を取り戻し、薄っすらと目を開けた。視界が白くぼやけてまだよく見えない。
 机に寝かされているのだろうか。背中がひんやりと心地良い。
 視線の先に魅音が映った。魅音が俺を微妙な表情で見下ろしている。
「……魅音?」
「ルル、あんた……」
 魅音は手を口元に当て、呆然とこちらを窺っている。
「なんだ、俺がどうかし……ん?」
 何気なく両の手を見ると、自分が手袋を着用している現状に気がつく。
 白い手袋。よく見ると全体的に服装が白い気がする、が……ま、まさか。
 俺は自分自身に降りかかった災いを思い出して青くなった。
「沙都子、それを貸せ……」
「あっ」
 机から起き上がると、近くにいた沙都子の持つ手鏡を強引に奪い取る。
「ぐっ……!」
 鏡を見て俺はさらに青くなった。
 そこには口に出すのもおぞましい姿の俺がいたのだ。
 

63:雛見沢住人 ◆xAulOWU2Ek
09/02/18 11:08:16 ET9QUkdk

 ナナリーを除く女性陣は何が良いのか、俺を眺めて感嘆の息を漏らしている。
「ルル、あんたすごいよ……」
「はぅぅ、ルルーシュくん本当に綺麗なんだよ、だよ」
「ですわね。女装姿をからかってやろうと思ってたのでございますが、これは……」
「レナがお持ち帰りを躊躇するほど綺麗なのですよ」
 褒められているのだろうが全然嬉しくない……。
「あのさ、ルル」
「……なんだ。先に言っておくが慰めは不要だぞ」
 慰めの言葉などかけられたら、自分が余計惨めに思えてくるからな。
「いや、そうじゃなくてさ。あんた、その花嫁姿で来春のミス雛見沢コンテスト出なよ……私ら差し置いて絶対優勝するから」
「冗談言うな……」
「いや本気なんだけど」
「尚更止めてくれ……」
 来春は強制的に出場させられるのだろうか……。ありえるから怖い。
「ふふ、たしかにお兄様なら優勝出来そうですね」
 と罰ゲームのメンズスーツを身に纏ったナナリー。
「く、お前までそんなことを……」
 兄の威厳もあったものではない。
 俺はすべての元凶である魅音をキッと睨みつけた。
「魅音、そろそろ良いだろう。俺は罰ゲームとして十分な屈辱を受けた。もう着替えさせてもらう」
「へぇ、敗者が勝手に罰ゲームの期間を決めちゃうんだ?」
「貴様! これ以上何をさせるつもりだ?!」
 魅音が嫌らしい笑みを浮かべながら言った。
「帰宅するまでその格好でいてもらう」
「な、何だと?! この格好で家まで? 馬鹿を言うな!」
「ふーん、そっかぁ」
 魅音は俺がそういう反応を示すことが分かっていたようで、腹立たしいことに馬鹿にした表情で続けた。
「やっぱりブリタニアの坊ちゃんには難しかったね。はいはい、もう止めていいよ。でも残念だなあ、ルルはもっと骨のあるやつだと思ってたんだけどなあ?」
「ぐっ、貴様…………いいだろう! やってやる、やってやるぞ!」
「おーっ、さすがルル! おじさんの眼はやはり正しかったよ、くっくっく!」
 魅音が尚嫌らしい笑みを浮べたまま、俺に拍手で賛辞を送ってくる。
 馬鹿にされたままは癪だったのでつい売り言葉に買い言葉で乗ってしまったが、これで本当によかったんだろうか……。


64:名無しさん@お腹いっぱい。
09/02/19 00:27:31 ZYtDo5Kp
面白いけどwww話進まんwww

65:雛見沢住人 ◆xAulOWU2Ek
09/02/19 01:41:13 IaqfPSy2
>>64
すまんw俺も実は書いてて苦痛だったw
けど逆パートすっ飛ばして即惨劇だとひぐらしらしくないと思ってな。
もうすぐ非日常入るんで我慢してくれると嬉しい

66:名無しさん@お腹いっぱい。
09/02/19 17:00:13 ZYtDo5Kp
>>65
wktk

67:名無しさん@お腹いっぱい。
09/02/22 23:09:16 V+TEfC3w
gj!
おもしろかった

68:名無しさん@お腹いっぱい。
09/02/25 16:15:33 994P94yb
なんという良スレ・・・スレタイをみただけでワクワクしてしまった・・・

69:雛見沢住人 ◆xAulOWU2Ek
09/02/26 13:33:50 pRHv031H
 罰ゲーム衣装のままの下校。
 俺は学校を出るとナナリーをレナに任せて、村人に見られないようレナや魅音の影に隠れながら、夕暮れ刻の帰り道を歩いた。
 木陰が人に見え、びくついた所を魅音に笑われる。屈辱だ。
 たしかに自分でも格好が悪いと思うが、魅音は少し人の気持ちとかを考えたほうがいい。さもないと、いずれ些細な事象から惨劇へと発展しかねない。
 水車小屋で魅音と別れ、やっと冷やかす人間がいなくなりせいせいする。
 しばらくしてレナとの分かれ道に差し掛かる。ここまで来れば家まで後半分といった所だ。
 レナは去り際に『魅ぃちゃんのことを許してやってね』と申し訳なさそうに言っていた。レナがそんな顔をする必要はないのに……。
 レナという少女は本当に良いやつだ。俺はすっかり彼女に毒気を抜かれてしまったようだ。
 ……そうだな、魅音だって同じリスクを背負っていた。引き返すチャンスも与えてくれた。だから恨むのはお門違いだよな。
 ナナリーと一緒に軽く手を振って笑顔でレナを見送る。
 騒がしい仲間がいなくなり、ナナリーと二人きりとなった。
「お兄様、今日は楽しかったですね」
「そうだな。たまには良いかもしれない……が、もうこの衣装は勘弁願いたいな」
「ふふ、私の目が見えるようになったらまた着てくださいね」
「それは駄目だ。せっかく治ったナナリーの目が潰れてしまう」
「そんなことないですよ、ふふふ」
 ナナリーは口元に手を当てて、さもおかしそうに笑った。
「おいおい、笑いすぎだ」
「だって、お兄様が。くすくす」
 ころころと笑うナナリーに感化されて俺も笑ってしまう。
 こんなに日常がいつまでも続くと良いのに……俺は切にそう思った。
 笑いが一段落着いた頃、ようやく雛見沢の我が家に到着した。


70:雛見沢住人 ◆xAulOWU2Ek
09/02/26 13:35:43 pRHv031H

 誰にも見られずに家に到着できたことで気が緩み、咲世子の存在をすっかり失念していた。玄関に入った所で彼女と遭遇、痴態を見られてしまった。こんなケアレスミスをするとは今日の俺はどうかしている。
 だがもう階段を上がりきり、俺の部屋の前。これ以上の恥の上塗りはないはずだ。
 そういえば、なぜか咲世子がしつこく俺を一階に引き止めようとしていたな。鼻血を出していたが大丈夫だろうか。
「……いや。人の心配よりまずは自分だな」
 自室の引き戸を開ける。
 ふはは、これでこの衣装ともおさらばというものだ。
「おい、遅かったなルルーシュ」
「なっ……C.C.(シーツー)?!」
 誰もいないはずの扉の向こうにはC.C.の姿があった。想定外の事態に目が点になる。
「お、お前がどうしてここにいるっ?!」
「お前こそどうしたんだ? その格好は」
 C.C.はこれ見よがしにあざ笑う。
 やつは俺の布団を勝手に敷き、その上に寝転がりながらピザを食べていた。

71:雛見沢住人 ◆xAulOWU2Ek
09/02/26 13:36:52 pRHv031H
支援サンクス。
不定期だけど生きてます。

72:名無しさん@お腹いっぱい。
09/02/26 17:50:24 hMmF4LyX
C.C.の登場でワクワクしっぱなしですwww

73:名無しさん@お腹いっぱい。
09/03/04 19:13:18 tQekrBYZ
続き楽しみ

74:雛見沢住人 ◆xAulOWU2Ek
09/03/05 19:32:09 1pRKYEax
>>72>>73
支援サンクス。
お前らがいる限り書き続けるぜ


75:雛見沢住人 ◆xAulOWU2Ek
09/03/05 19:33:03 1pRKYEax



 C.C.の我が物顔でくつろいでいる様に腹が立って仕方がない。
「そんなことはどうでもいい、答えろ!」
 俺はウィッグと手袋を外し、怒りに任せてC.C.に向かって投げつけた。ところがやつはだらけきった姿勢にも関わらず華麗に避けた。
「お前からここの暮らしを耳にして少し興味がわいた、じゃ理由としては薄いか? ……んぐんぐ」
 とピザを一ピース飲み込みながらやつは答える。その態度にさらに怒りが増大した。
「そういうことではない!」
「おいおい、いいのか? 日本家屋は音を良く通すのだがな」
「……っ!」
 階下にナナリーたちがいることを思い出し、声量を抑えて言った。
「お前にはゼロの影武者を任せていたはずだ」
「分かってるさ、私も馬鹿じゃない。代理を立てておいたから安心しろ」
「そうか、ならいい。…………いや待て。一体誰に代役を頼んだ?」
「玉城だ」
「はぁっ?! 玉城だと?! よりにもよって?! 今すぐ東京租界へ帰れ、この馬鹿!」
 玉城とはレジスタンス時代のカレンの仲間だ。カレンと共に黒の騎士団に入団してきたが、リヴァルを100倍に濃縮したようなお調子者でよく作戦でへまをして騎士団全体に迷惑をかける。まったくもって厄介この上ない人間だ。
 あいつにゼロをやらせようものなら、最速三日で黒の騎士団は解散を余儀なくされるに違いない。
「なぜだ? 玉城なら面白がってやってくれているぞ」
 C.C.は不思議そうに首を傾げる。コイツ本当に分かってないぞ……。
「面白がってやっているからまずいんだよ!」
「ルルーシュ、落ち着け。また声が大きくなっているぞ」
「……っ! とにかくすぐに租界に戻ってくれ」
「嫌だと言ったら?」
「お前……!」
 C.C.は俺をからかい満足したのか、ケタケタと笑いながら布団から出た。
「しょうがないな。まったく、お前は私がいないと何も出来ないのだな」
「ぐっ……」
 俺は今にも堪忍袋の尾が切れそうだったがどうにか我慢した。


76:雛見沢住人 ◆xAulOWU2Ek
09/03/05 19:33:47 1pRKYEax

「さて、では従順な私は素直に租界に戻るとしよう。ここは居心地は良いのだがピザの調達が難しいんだ。じゃあな」
「ああ、早く行ってしまえ!」
 C.C.はわざと俺の神経を逆撫でするような言葉を残し、部屋を出て行く。なんて女だ。
「そうだ、ルルーシュ」
 そして罰ゲーム衣装を脱ぎ捨て私服に着替え終えた頃、C.C.が部屋に舞い戻ってきた。何事もなかったように戻って来れるコイツの無神経さが分からない。
「何か忘れ物か、C.C.?」
「ああ、お前に一つ伝えたいことがあってな」
「そうか。だが俺はもう大分腸が煮えくり返っているのだが?」
「まあそう言うな。お前にとって有益な情報だ」
「言ってみろ」
 これでまた冗談でも口にしようものなら、俺はコイツを殴ってしまうかもしれない。
 C.C.は急に真顔になって押し黙った。
「どうした?」
 俺が先を促すと、しばらくしてC.C.は重い口を開いた。
「……この村に私と同等の存在が居る」
「それはどういうことだ?」
「私と同じく他者にギアスを発現させる存在が居ると言ったほうがいいだろうか」
 そんな大事なことを今頃になってこいつは……。
「なぜ黙っていた?」
「そう睨むな。黙っていたわけじゃない。ただ、最近知り得た情報なだけだ」
 だろうな。コイツは俺の共犯者だ。俺に害のある隠し事などするはずがないし、する必要がない。
「そうか、それで?」
「そいつの名はO.O.(オーツー)。別段そいつ自体が危険というわけではないが、ギアス能力者のほうは分からない」
「つまり、ギアス能力者が敵として現れるかもしれないから気をつけろということか」
「そういうことだ。話が早くて助かる」
「分かった、十分気をつけよう」
「ああ、簡単に殺されてくれるなよ。お前に死んでもらっては私が困るからな」
 そう言うと今度こそ本当にC.C.は帰っていった。
「この村にギアス能力者か……」
 自分以外の能力者は今のところマオしか出会っていない。最悪のケースしかないというのはつらいな。
 出会い頭にギアス戦になるという可能性も十分考えておくべきだろう。


77:名無しさん@お腹いっぱい。
09/03/11 20:06:31 m80vU4Dy
O2って、オヤシロ様=羽入のことかな

78:名無しさん@お腹いっぱい。
09/03/11 23:51:47 qTS0RgHO
OOishiだろ

79:名無しさん@お腹いっぱい。
09/03/12 00:48:35 2aUP6XBR
黒幕だった鷹野の場合もありえる。
そして、支援age

80:雛見沢住人 ◆xAulOWU2Ek
09/03/13 18:49:49 Xmy/hGA+
>>77>>78>>79
レスありがとう。
だがギアスユーザーたちについてはノーコメントでw
大体予想がつくと思うけどな

ちょっと続きは待ってくれ。
書けてはいるんだが、後々の展開に齟齬が出ないように考え中なんだ。

81:名無しさん@お腹いっぱい。
09/03/13 19:21:50 x814MRKq
頑張れ!応援してる。
なんか結構いい感じだから期待。

82:雛見沢住人 ◆xAulOWU2Ek
09/03/16 21:39:50 wEFLM2pr
【5】

 朝、小鳥のさえずりを聞きながら目が覚めた。
 頭がずっしりと重く感じる。起き上がろうとすると身体もだるい。
 昨日やけにミスが多いと思っていたら、風邪をひいていたようだ。
 日本では夏風邪をひくのは馬鹿だと言われているらしい。次に学校に行った時を思うと気が重い。またそれをネタに魅音にからかわれるんだろうな。
 自分で言うのもなんだが俺は体があまり強くない。スザクまでとはいかぬまでも、少しは身体を鍛えたいとは思っているのだが……いつも長続きしないのは何故だ?
 無論俺がヘタレだからという回答は却下だ。俺はそんな軟弱ではない。
「医者に行くべきか……だが面倒だな……」
 しかしこのまま寝ていても、俺の治癒能力では完全回復までに時間がかかりそうだ。やはり素直に医者に行って薬をもらって来るとしよう。
 雛見沢には、租界から離れたゲットー地域にも関わらず高度な医療施設があったはずだ。確か入江診療所。場所は……大丈夫。雛見沢の地形はすでに頭に入っている。
 隣の部屋に行き、ナナリーに声をかけてから出かけることにした。
「ナナリー、すまない。どうやら風邪を引いてしまったようだ」
「お兄様。まあ、大丈夫なのですか?」
「ああ、風邪気味なだけだよ。少し休めば平気なはずだ」
 ナナリーに対して見栄を張る自分がおかしくて苦笑する。
「そういう訳だから今日俺は大事をとって学校を休むが、お前はどうする?」
「では私も休みます。私だけ学校に行って楽しんではお兄様に悪いですから」
「はは、そんな気遣いは不要だよ。行って来い、咲世子さんに送ってもらうよう頼んでおこう」
「そうですか。では安静にしていてくださいね」
「ああ、そうしよう」
 ナナリーの部屋を出て階下へ向かう。キッチンで朝食を作っている咲世子に声をかけて家を出た。 


83:雛見沢住人 ◆xAulOWU2Ek
09/03/16 21:42:18 wEFLM2pr

 入江診療所に到着する頃には、俺の病状は著しく悪化していた。
 だいぶ息が荒くなっている。こんなことなら無理せず咲世子に付き添ってもらえばよかったかもしれない。自分の軟な体が憎い。
 扉を倒れ込むようにして押し開け、診療所内に入る。
 内部は租界のと比べるとそんなに大きくはなかったが、ゲットーにある医療施設としては立派過ぎるくらい清潔そうだった。
 日本人相手にどこで利益を出しているのだろうか、とどうでもいいことを不思議に思ってしまう。風邪のせいだな。
 待合室で自分の番を待っていると、自分の名が呼ばれた。席を立ち、診察室に入る。室内で待っていた医者は入江だった。
「お久しぶりですね。今日はどうされました、ランペルージさん?」
 入江はうちの学校の保険医も兼任しているのでお互いに良く知っていたが、世間話などしたくはないし、今は無駄な動作を取れる健康状態ではないので質問に応えるのみに抑えることにする。
「はい。熱があって体がだるいのですが、風邪でしょうか」
「そうですねー。とりあえず脈を取りましょうか」
「はい」
 手を入江に差し出す。
「うーん、すべすべのお肌ですねー……ハアハア」
 こういう変なところがなければいかにも好青年なのに惜しい男だ。
「ちょっと、先生。ちゃんと診断してください」
「そんな、心外ですね。ちゃんとやっています。では次はこちらの検査着に着替えてください」
「もろメイド服じゃないですか」
「あれ、ばれちゃいました?」
「時間の無駄しました。失礼します」
 席を立とうとすると慌てて入江が制した。
「わ、待ってください、冗談ですよ! 診察は真面目にやってますから!」
「ならいいのですが、今度ふざけたら本当に帰らせてもらいますから」
「分かりました、分かりました。もう言いませんよ」
 入江が苦笑した。苦笑したいのはこっちのほうだ。
 触診をされた後、俺は入江から体温計を受け取り熱を測った。
「で、診察の結果はどうですか」
「んー、風邪ですね。薬出しておきますので食後30分に飲んで、それからがっつり寝てください」
「分かりました。では失礼します」
 無駄にとどまるとロクなことがなさそうなので、俺は素早く席を立って診察室を出た。


84:名無しさん@お腹いっぱい。
09/03/19 23:06:45 QOylmek2
ルルーシュだけじゃなくて生徒会メンバー全員を雛見沢に移住させたいな
シャーリーは魅音と詩音と恋バナで仲良くなって、
レナはなんかスザクとアーサーと仲良くなりそう。


85:名無しさん@お腹いっぱい。
09/03/23 13:01:26 5DZMrafj
なんか東京とキョウトがつながってそうですね

86:名無しさん@お腹いっぱい。
09/03/27 10:07:44 4f3IUrwo
期待
でもいつもの事ながら一度の投下量が少な過ぎるんだぜ・・・

87:雛見沢住人 ◆xAulOWU2Ek
09/03/27 18:44:10 xOA6A1Rh
投稿ペースは読み手にあわせているつもりだったんだが。
自分の都合ももちろんあるが、あまり一回の分量増やすと読む気なくすと思ってな。
まだ書き溜めてあるから一気に投稿することも出来るが、物語が破綻する可能性が若干増える。
それでも良いんだったら投稿量増やすよ。



88:名無しさん@お腹いっぱい。
09/03/27 19:55:58 4f3IUrwo
>>87
書き手の投下しやすいペースで良いとおもったんだけど。
流石に2レスはどうかな・・・
長くても良いと思うぜ。それだけの面白さが有るんだからさ。


89:雛見沢住人 ◆xAulOWU2Ek
09/03/31 10:55:40 62zYNVxF

 会計を終えて帰ろうとしていると、不意に看護婦から声をかけられた。
「あら、あなた。ルルーシュ・ランペルージ君?」
「はい? そうですが何か」
「やっぱり貴方が噂のブリタニアの学生さんなのね」
「ええ、まあ……。あなたは?」
「私は鷹野三四よ。ここで働いているの、よろしくね」
「僕に何か御用ですか?」
「いいえ、特に用はないのだけど。雛見沢にブリタニアの兄弟が住んでるって話を聞いてたからどんな酔狂な子かなと気になってただけよ、くすくす」
 三四はおかしそうに笑う。俺は少しむっとした。
 この、人を見下すような態度……見ていて腹が立つ。もっとも十中八九同属嫌悪だろうが。
 もちろん表情には出さないようにする。
 ふっ、揺さぶって詮索するつもりだろうがさせるものか。知らない人間からそういった疑問を投げかけられるのは想定済みだ。
「そうですか。でも別に酔狂ってわけじゃないですよ。日本の自然が好きなブリタニア人はたくさんいます。古手神社から見下ろす雛見沢の景色は本当に綺麗ですよね」
「ふーん、そうなの」
 三四がつまらなそうに相槌を打つ。あまり俺の話を信じていないようだ。
 三四は俺から真実を引き出すことが無理そうだと理解し、信じた素振りをした。
「あの、まだ何か?」
「いいえ、引き止めた悪かったわね」
 それでいい。気が済んだのなら黙って質問を終えろ。
「じゃあ失礼します」
「ちょっと待って。でもおかしくない?」
 三四に引き止められる。何がおかしいというのだ。
「なにが、ですか?」
「自然が好きなだけなら、他のブリタニア人のように観光で来れば良いのに、貴方たちはどうしてここに住む気になったのかしら?」
 こいつ……。俺たちに何か知られたくない素性があることに薄々感づいているのか……?
「僕には日本人の友達がいましてね。ゲットーに住むのはそんな抵抗はないんです。それに、ここは他のゲットーと違って住みやすいですしね」
 咄嗟に切り替えす。だがこれ以上はギアスを使う必要性が出てくる。無駄には使いたくはない、早く消えてくれ。
 三四が俺の言うことに同意した。
「そうね。ここは多分、君の言う通り租界の次に暮らしやすいんじゃないかしら。けれど、本当にここは"住みやすい所"なのかしらね、くすくす」
「……それはどういうことですか」
「くすくすくすくす!」
 三四の小馬鹿にするような笑い声。それは先ほどの同属嫌悪から来るものとはまた違った不快感があり、言いようもない禍々しさと邪悪さを合わせ持っていた。
「……一体、何だと言うんです?」
 俺が再び訊ねると三四はゆっくりと口を開いた。
「雛見沢連続怪死事件。聞いたことはなぁい?」

 例えようのない不安が俺をねっとりと包み込んだ。


90:雛見沢住人 ◆xAulOWU2Ek
09/03/31 10:57:36 62zYNVxF
 診療所から帰宅すると、家の電話からスザクにいの一番で電話をかけた。
「もしもし?」
 スザクの声がする。携帯にかけたのだから本人が出るのは当然だが。
「もしもし、俺だ」
「ルルーシュ? どうしたんだい?」
「どうしたじゃない、この馬鹿」 
 俺は鷹野から聞かされた話をスザクに聞かせる。

 雛見沢で毎年起こる凄惨な殺人事件―

 毎年綿流しの祭の日に起こり、一人が死に一人が消える謎―

 偶然だと噂されながら、けれど確実に起きた怪奇―

 雛見沢連続怪死事件。通称"オヤシロ様の祟り"のことを。

 スザクは俺が話すのを静かに聴いていた。俺はスザクが真剣に聞いているものと判断し、先を続ける。
「すでに四年連続で発生しているらしい。そして今年で五年目。後一週間で綿流しの祭。その日誰かが謎の死を遂げ、誰かが消失する可能性がある。お前はそれを知らなかったのか?」
 知らないだろう。知っていたら、スザクはナナリーをこんな危険な場所に近づけさせないはずだ。
 だがスザクの返答は俺が思っていたのとは違うものだった。
「知っていたよ、ルルーシュ」
「なんだと?! どういうつもりだスザク!」
 俺は思わず激昂する。一番信頼していた友に裏切られたんだ。腹も立つというものだ。
 スザクが慌てて弁明した。
「ルルーシュ、少し落ち着いて僕の話を聞いてくれ。確かに僕は連続怪死事件の噂を知っていながら、君たちをここに住むよう促した。けれど、それには理由があるんだ」
「どういうことだ。もったいぶらず話せ」
「君も気づいていると思うけど、連続怪死事件の被害者は少しずつ村の仇敵という関係から離れていき、動機が希薄になってきている。今年は余所者という理由だけで殺されてもおかしくないんだ」
「お前、ふざけているのか? だったら日本人でもない余所者の俺とナナリーが一番危ないということになるが、分かって言っているんだろうな?」
「ああ、分かっているよ。けどそれは言い返せば、雛見沢がブリタニア人の近づけない絶対の聖域となることを意味する。事実、ブリタニアの警察官は雛見沢にただ一人も巡回には来ない」
 そういえばそうだ。雛見沢では一度もブリタニア人やナイトポリスを見たことがない。
 こんな辺境に警察を巡回させる暇はないのだろうと思っていたのだが、そういう事情も隠されていたのか。
 確かにブリタニア人が恐れて近づかない場所ならば、俺たちの素性もばれにくい。
「連続怪死事件について話さなかったのは悪かったと思ってるよ。けれど、それは君たちに余計な心配をかけないためだったんだ」
「お前の言い分は分かった。だが、今年の祟りで俺たちが被害に遭う可能性は著しく高い。もしナナリーが危険な目にあったらどう責任を取るつもりだったんだ」
「その場合、今年の祟りは起こらない」
「どういうことだ?」
「僕は秘密裏に君たちを護衛するつもりでいたんだ」


91:雛見沢住人 ◆xAulOWU2Ek
09/03/31 10:58:52 62zYNVxF

 スザクとの電話を終えると汗を拭き取りながら自室に戻った。スザクの護衛がつくということが分かっても、どうしても不安だけは拭えなかった。 
 一人が謎の死を遂げ、一人が消えるオヤシロ様の祟り。被害者の数は常に偶数。最小の偶数は2。
 何度考えようと、今年の被害者は日本人ですらない他所者の―……俺とナナリーの可能性が高く思える。
「……馬鹿な、そんな理由で祟られてたまるか」
 どろりとまとわりつくような疑念を吹き飛ばそうと頭を思い切り振るが、それが引き金となって鈍重な痛みが頭を支配する。
 まずは体調を万全にしよう。それが最優先。
 洗面台に行って薬を飲んだ。飲んですぐ効くはずはないが、少し身体が楽になったような気がする。
 プラシーボ効果様々というやつか。人間の身体というものはつくづく便利に出来ているものだ。どうせならこの勢いで明日には完治したいものだ。鏡の前で一人苦笑した。
 スザクを信じないわけではないが、今日ぐっすりと寝て風邪が治ったなら、明日は怪死事件について調べてみよう。
 ギアス能力者、コーネリア、日本解放戦線……問題は山済みだが、今は後回しにするしかないだろう。
 俺は着替えると布団に入って目を瞑った。

 ―タイムリミット;オヤシロ様の祟り発生まで後7日。


92:雛見沢住人 ◆xAulOWU2Ek
09/03/31 11:00:59 62zYNVxF
コメありがとう。
要望があったんで今回から三レスに増やすよ。
でもこれ以上の増加は推敲の関係で無理だ。勘弁してくれ


93:雛見沢住人 ◆xAulOWU2Ek
09/03/31 11:04:17 62zYNVxF
>ブリタニアの兄弟
早々に誤字発見すまん。兄妹な

94:名無しさん@お腹いっぱい。
09/03/31 15:29:27 QCToJsU/
どうでも良いけど、ひぐらしの原作的には ○オヤシロさま ×オヤシロ様
まあ、原作でも一箇所誤字かなんかで漢字になってたけど、基本的に人名+さまの「さま」は平仮名になってる。

期待してるからこそちょっとだけ気になったこと言ってみた。
楽しみにしてるから投下頑張って。

95:名無しさん@お腹いっぱい。
09/03/31 22:16:06 Ah1WgAZW
wktkが止まらねえぜ・・・

96:名無しさん@お腹いっぱい。
09/04/02 15:42:32 5yOcjXTq
保守

97:富竹 ◆gqRrL0OhYE
09/04/02 17:59:42 bf6pJxjR
いい感じですね。保守しますよ!

細かいんですが質問です。

ブリタニアの警官が来ないのは、本当に祟りに遭いたくないだけなのですか?
もし、裏があるなら、すごいと思うのですが・・・・

98:名無しさん@お腹いっぱい。
09/04/02 18:12:26 Gp+534l0
>>97
そーゆー質問は場合によってはネタバレになるかもなんだぜ


99:富竹 ◆gqRrL0OhYE
09/04/03 00:58:49 TAKBmCa0
>>98
確かに・・・・・すんません
ついでに

私のスレで短編集的なもの作ったので・・スレのほうでコメントいただければ
URLリンク(changi.2ch.net)

100:名無しさん@お腹いっぱい。
09/04/03 23:07:02 V4PsRLWE
>>99
宣伝は荒れる元になると思うよ

誰かに広めたい!ってのは分かるんだが・・・

101:雛見沢住人 ◆xAulOWU2Ek
09/04/05 15:45:15 oKvAi9N4
米サンクス。まずは米返しから。

>オヤシロ様
あまり気にしてなかった。一応これ以降のは修正しておいた。
また同じようなことがあるかも。
>ブリタニアの警官
勘ぐらせて悪いが、別に裏とかは考えていない。
スザクがなぜ危険な雛見沢にルルーシュを行かせたのか説明するための、ただの舞台装置だよ。
>宣伝
よく分からんが、クリックしても見れんな

次レスにうpするが、ちょっと展開が足早になってきたかもしれん。
すまん。




102:雛見沢住人 ◆xAulOWU2Ek
09/04/05 15:46:46 oKvAi9N4
【6】
 次の日になると俺の熱は下がり、風邪はすっかり治っていた。ところが、その代わりに今度はナナリーが風邪をひいてしまったようだ。
「大丈夫か?」
 ベッドに伏しているナナリーに訊ねる。手を握るととても熱かった。
「ええ……平気です。魅音さんたちと遊ぶのが楽しくて、少しはしゃぎすぎたせいのかもしれませんね」
「……俺の風邪が感染ったんだな。すまない」
 ナナリーは強がっているが、昨日の俺よりも体調が悪そうだ。今日はナナリーを医者に連れていって、その後に看病をするためにも学校を休むしかないだろう。
 俺がその旨を伝えると、ナナリーは首を横に振った。
「私は寝ていれば大丈夫ですから、お兄様は学校に行かれてください」
「しかしナナリー」
「いいんです。私もいつまでも子供じゃないんですから……風邪くらいお兄様がいなくっても平気ですよ。……それに、お兄様は学校をよくおさぼりになるんですから、行く気がある日くらいはちゃんと学校に行ってくださいね☆」
「はは、お前も言うようになったな」
 これだけ減らず口が聞けるのなら俺がいなくても大丈夫そうだな。医者には咲世子に連れて行ってもらおう。
 怪死事件について調べるのにも、ナナリーがいないほうが都合がいいだろう。
「分かったよ、今日はしっかり休んでいるんだぞ。行って来る」
「はい。行ってらっしゃいませ、お兄様」
 ナナリーの部屋を出て階下に降りて朝食を取ると、咲世子にナナリーを任せて一人家を出た。


103:雛見沢住人 ◆xAulOWU2Ek
09/04/05 15:47:27 oKvAi9N4

 放課後になって、部活の準備をしようとしている皆に魅音が謝った。
「ごっめーん! おじさん、今日はバイトだから部活できないんだった!」
「そうなの? でも用事があるなら仕方ないよね、よね」
「昨日の夜、急に入れられちゃってさー! 本当ごめん、今日はおじさん抜きでやってくれて良いからさ!」
「そう言われましても、ナナリーさんも欠席ですし、盛り上がりに欠けますわよ」
「となれば、今日の部活はなしにするのがいいかもなのです」
「そうだな、俺も今日は調べたいことがあるしな」
「「調べたいこと?」」
 他の部活メンバー全員が一斉に聞き返す。俺を除く皆が顔を見合わせて苦笑いをした。
 そうだ、こいつらに話を聞いておくのも良いだろう。大した情報は期待していないが何か怪死事件の謎の糸口になるかもしれない。
「なぁお前ら。この雛見沢で殺人事件があったって話を聞いたことはないか?」
 俺は何気なく、世間話をするつもりで質問したつもりだった。
 それなのに皆は俺の目を射抜くような冷たい視線でこう一蹴した。
「「知らない」」
「え……。だが、そういう事件があったんじゃないのか……?」
「「なかった」」
 雛見沢では有名なはずなのに、実際に起こったはずなのに……ないと言い張る皆が不気味だった。
「そ、そうだな……。この平和な村に事件なんか起きないよな……」
 俺はもう反論する気力をなくし、ただ皆に合わせるように言葉を紡ぐ。
「「もう帰ろう」」
 皆は帰りの仕度を整えると、俺を置いて教室から出る。静寂が教室を支配した。
 外から聞こえるひぐらしの鳴く声が一際大きく聞こえていた。
「ルルーシュくん、帰らないの?」
「……え?」
「一緒に帰ろ! はぅ!」
 教室のドアからレナの顔が覗く。
 いつものレナだ。俺はほっと胸を撫で下ろした。
 先ほどのレナや皆の冷たい視線は気のせいだったんじゃないか? 今の彼女を見ていると、心底そう思わされる。
「ルルーシュくん、どうしたの?」
 レナが不思議そうに首を傾げた。
「あ、ああ。なんでもないよ」
「そう、じゃあレナと一緒に帰ろ?」
「そうだな」
 荷物を手に取り、レナに駆け寄る。
 やっぱり気のせいだろう。このレナが人にあんな冷たい視線を投げかけるわけがない。
 だが…………不愉快な疑念だけは、纏わりつくようにしつこく俺を放さなかった。

 事件なんてなかったと言う魅音たち、事件の存在を肯定する鷹野とスザク……俺はどちらを信じたら良いのだろう……?
 この時から、俺の危機感と好奇心はフルスロットルで加速し始めた。


104:雛見沢住人 ◆xAulOWU2Ek
09/04/05 15:48:22 oKvAi9N4
 
「ねえねえ、ルルーシュくん」
「なんだ、レナ?」
「ちょっと寄り道して良いかな、かな?」
「あ、ああ。別に構わないがどこに行くつもりなんだ?」
「あはは、レナの秘密の場所〜☆ ルルーシュくんを特別に連れてってあげるんだよ、だよ」
「秘密の場所?」
「いいから着いてきて、すぐ近くだから!」
「あ、おい!」
 レナに強引に手を引かれ連れて行かれた場所はサクラダイト発掘現場跡地だった。
 ここは……最初の惨劇が起きた場所ではないのか……?
 スコップやつるはしでのリンチ殺人。その後遺体をバラバラにするという凄惨な事件……被害者はサクラダイト発掘会社の現場監督。まだ遺体の一部、右腕で見つかっていないらしい。
「こんな場所に連れてきてどうするつもりだ?」
「はぅ? どうもしないんだよ」
「嘘をつくな。こんな人気のないところに来る理由など何もないはずだ」
「あははは。ルルーシュくんは何を怖がっているのかな、かな?」
 レナは感情の篭らない顔で、声だけで哂った。
 気のせいじゃ、なかった…………。
 教室でのあの冷たい視線は決して勘違いじゃなかったのだ…………。
「お前こそ、何を隠している!」
「あはははは、変なルルーシュくん。レナは何も隠してなんかないんだよ、だよ。そんなことより一緒に宝探ししようよ、楽しいよ? ね?」
「うるさい!」
「きゃっ!」
 気づけば、俺は近寄ってくるレナの頬を打っていた。辺りに乾いた音が響き、それからひぐらしの声が再び聞こえ出した。


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